性風俗の歴史

セックスに必要不可欠な「コンドーム」は時代とともに進化した

女性とのセックスを安心して楽しむために必要不可欠な存在が「コンドーム」です。コンドームはゴム素材でできており、男性器を覆うことができるようになっています。セックスの際に男性がコンドームを装着することで、女性が妊娠せずにすみます。

普段何気なく使っているコンドームは、実は長い歴史があります。日本におけるコンドームの歴史は江戸時代(1603~1868年)から始まりました。

ここでは、日本のコンドームの歴史について紹介します。

日本において、コンドームは江戸時代に登場した

日本で初めてのコンドームは、江戸時代に登場しました。当時のコンドームにあたるものは「茎袋(きょうたい)」と呼ばれていました。もともと茎袋はオランダから輸入されたもので、動物の皮でできていました。

「茎袋」という名称は、男性のペニスを「茎」と見なし、茎を入れる袋のような形であったことに由来しています。

江戸時代は輸入品の価格が非常に高い傾向にありました。そのため茎袋も「舶来品(はくらいひん:輸入された商品)」として、高価な商品でした。そのため一般庶民の男性は、茎袋を使いたくても使うことができませんでした。

ただ、茎袋は高価ではあったものの、付け心地は快適なものではありませんでした。

さらに江戸時代は、性に寛容な雰囲気がありました。そのため男性は女性とセックスをする際、いわゆる「生の状態(男性器にコンドームなどを一切つけない状態)」でプレイをするのが一般的でした。こうしたことから、茎袋はあまり普及しませんでした。

明治時代になり、日本製のコンドームが誕生した

江戸時代が終わり明治時代(1868~1912年)に入ると、1909年(明治42年)に初の日本製コンドームである「ハート美人」が誕生しました。

発案者は薬局を経営していた小島久太郎(こじまきゅうたろう)という人でした。小島氏は風船にインスピレーションを得てコンドームのアイデアを考えました。そして風船屋に製造を依頼し、試行錯誤の末にハート美人の開発に成功したのです。

当時のハート美人の値段は「1ダース(12個入り)で1円」でした。ここから日本のコンドームの歴史が本格的に始まったのです。

ちなみに、ハート美人は現在、コンドーム販売企業として有名な「オカモト」が商標を取得しています。そして、現在も改良されて販売され続けている商品です。

戦争とともにコンドームが普及

明治時代が終わり大正時代(1912~1926年)や昭和時代(1926~1989年)になると、さまざまなコンドームが登場するようになりました。ハート美人に似た商品であった「敷島サック」や、日本軍兵士用のコンドームとして「突撃一番」や「鉄兜」などの商品が販売されました。

日本軍用のコンドームが製造されたのは、当時の日本では戦争がさかんに行われたためです。

戦時中は兵士のために「慰安婦(いあんふ)が待機するための施設」が各地に設置されました。慰安婦は「兵士の性欲を満たすために、セックスの相手をする女性」のことを指します。慰安婦はたくさんの男性とセックスをしていたため、戦時中は性病が蔓延するようになりました。

こうした状況から、性病を予防するためにコンドームが積極的に使われるようになりました。そして、兵士用のコンドームが製造されたのです。

「より薄く」を追求するために品質が向上

また、1933年(昭和8年)には、ポーランドで初の「ラテックス製コンドーム」が開発されました。ラテックス製コンドームは、継ぎ目のない「シームレスタイプのコンドーム」として注目されるようになりました。

当時のコンドームは継ぎ目があり、そこから破れてしまうことがありました。そのためシームレスタイプのラテックス製コンドームは非常に画期的だったのです。こうして日本でもラテックス製コンドームの開発が行われるようになりました。

また、このような動きの中、1979年(昭和54年)にエイズウィルスが発見されました。エイズは性感染症として現代でも重大な病気とされており、コンドームの重要性が再認識されるようになりました。

さらに、コンドームは日本の各企業で開発が進められ、基本的な避妊機能は十分なものとなりました。そのため「生での挿入に近い感触」を追求する開発が始まりました。

コンドームメーカーの積極的な開発によってコンドームはより薄く、表面がなめらかになりました。男性はこうしたコンドームを装着することで、セックスの際にコンドームなしの状態に近い感触を得ることができるようになりました。

また、新しく開発されたコンドームは、ゴム製品特有のにおいの除去やさらなる強度の向上など、より安心して使える品質となりました。

さらに、コンドームの品質が高まる中で登場したのが、1998年(平成10年)に相模ゴム工業が発売した「サガミオリジナル」というコンドームです。

サガミオリジナルは「ポリウレタン」という新素材を使用していました。これによってサガミオリジナルは、強度を保ちながらもさらなる薄さを実現したのです。

2000年代に入るとコンドーム販売メーカーの間で、「0.01ミリの差」にこだわる争いが始まりました。

2000年代初頭には各社で厚み0.03ミリのコンドームが、2005年ごろには0.02ミリのコンドームが主流となりました。そして2010年代に入り、ついに厚み0.01ミリのコンドームが発売されるようになりました。

日本のコンドームメーカーは「薄さの限界」を追求して、コンドームの研究開発を進めています。そしてその企業努力は、世界でも「日本製コンドームの品質は非常に高い」として認められています。

このように日本のコンドームの歴史は江戸時代から始まりました。そして現在では、日本のコンドーム製造技術は世界に誇るものとなっています。コンドームメーカーは男女のセックスの快感と安全を追求して、現在も成長し続けているのです。

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