江戸時代に風俗遊びをしていた男性の職業や腎張


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江戸時代(1603~1867年)に風俗遊びをしていた男性の中には、お金をたくさん持っている人とそうでない人がいました。職業によって収入に差があったのです。

また、男性の中には非常に精力の強い人が存在しました。当時はこうした男性のことを、腎張(じんばり)と呼びました。

ここでは、江戸時代に風俗遊びをしていた男性の職業や腎張について紹介します。

お金をたくさん持っていた鳶職(とびしょく)の男性

江戸時代に高収入だった男性として、鳶職(とびしょく)の人が挙げられます。鳶職は「建築物の組立を行う人」のことを指します。

江戸時代には多くの建物が建設されていました。鳶職の男性は建築技術を身に付けており、その技術を活かして大きな収入を得ていました。

また、江戸時代の建築物は木造でした。そのため、火事が起こると燃えやすい性質がありました。

江戸時代にはときどき大規模な火事が起きていました。そのたびに「復興特需(ふっこうとくじゅ)」と呼ばれた建物の建て直しがありました。鳶職の男性は火事のときには「引っ張りだこ」といえるほどの仕事があり、そのたびに大金を稼いでいました。

鳶職の男性は女郎屋(じょろうや:風俗店のこと)で威勢が良く、金遣いが荒い傾向があります。

商店で働く男性は時間とお金をやり繰りして遊んでいた

江戸時代には商店で働く「お店者(おたなもの)」と呼ばれた人がいました。お店者には、江戸で生まれ育った「江戸っ子」がたくさんいました。通常、江戸っ子には「人情に厚く、威勢が良いイメージ」を持つ人が多いです。しかしお店者は物腰が柔らかく、丁寧な言葉遣いでした。

お店者は商店に住み込みで働いて収入を得ていました。夜明け前から仕事を始めて、夜がふけても働くことが多くありました。そのため、お店者は性欲が湧いてきても我慢して仕事をしていました。また、これだけ仕事を頑張っても、お店者は鳶職の男性に比べると収入が低めでした。

それでも、お店者は性欲を我慢できなくなったときには知恵を絞って時間を捻出し、お金をやり繰りして女郎屋に出かけていました。

お店者は店の仕事が早く終わった夜に女郎屋に出かけていました。そして「夜明け前には店に戻ろう」と決めて、遊びに行っていました。夜明け前には店の主人や職場の同僚が目を覚ましてしまうため、お店者はそれまでに遊女(ゆうじょ:風俗嬢のこと)と遊び終えて帰ってくる必要がありました。

武士は遊女から嫌われていた

江戸時代には武士がたくさんいました。武士は遊女から「野暮(やぼ:あか抜けていないさま)」として嫌われやすい職業でした。

武士の中でも特に嫌われていたのが「勤番武士(きんばんぶし)」と呼ばれた武士です。勤番武士は、「地方から江戸に来ていた武士」のことを指します。江戸時代には「参勤交代(さんきんこうたい)」という制度があり、地方に住んでいた武士は定期的に江戸に出向く必要がありました。

遊女は江戸に住んでおり、いわば「都会の洗練された女性」でした。これに対して、勤番武士はいわゆる「田舎者」でした。当時、江戸に住んでいた人たちは地方出身者に対して優越感を持っていました。そのため、遊女は勤番武士を馬鹿にしていたのです。

また、遊女が勤番武士を嫌ったもうひとつの理由として、「勤番武士の収入が低かった」ことも挙げられます。勤番武士は仕事が少なく、暇を持て余していました。つまり、「時間はあってもお金がない」状態だったのです。

勤番武士は遊女屋を訪れると「お金を支払った分、元を取ろう」と考えました。そのため勤番武士は遊女に対して性行為を急がせたり、一晩中続けてセックスをしたりしました。こうした行為から遊女は勤番武士に「お金の支払いは少ないのに、要求だけは多い」と感じることがありました。

1773年(安永二年)に発刊された「南閨雑話(なんけいざつわ)」という書物には、品川にあった女郎屋の様子が描かれています。そのシーンのひとつに、「女郎屋を訪れた勤番武士に対して、遊女が愚痴をこぼす場面」があります。

南閨雑話に描かれた遊女は「勤番武士の相手をするのは馬鹿らしい。今度からあのような客は来なくて良いのに」と不満を漏らしていました。

江戸の男性には強い精力を持った人が存在した

このように、江戸時代に風俗遊びをしていた男性の中には、鳶職などの収入が高い男性がいた一方、勤番武士などの収入が低い男性もいました。現代と似た光景が、江戸時代の風俗街にもあったのです。

ただ、風俗遊びをするためには精力が必要です。冒頭で述べた通り、江戸時代にも精力の強い人が存在しており、こうした人は腎張と呼ばれました。

現代は食料品が豊富で、さまざまな栄養素を摂ることができます。現代よりも質素な江戸時代の食事で「どの程度の精力を持った人がいたのか」は興味深いといえます。

92歳で絶倫だった男性「天公法現(てんこうほうげん)」

天公法現(てんこうほうげん)」という男性は、江戸時代の腎張として有名だった人物です。法現は92歳のときまで医者として仕事をしていました。

法現はある日、知人からの紹介で「妙仙(みょうせん)」という50歳の女性を紹介してもらいました。妙仙は鍼や揉み治療の仕事をしていました。

二人は知人から「お互いに仕事が似ていて気が合うようなので、結婚したらどうか」というアドバイスをもらいました。これがきっかけで、二人は結婚することにしました。そして、二人の結婚生活が始まりました。

結婚生活が始まった時点から、法現の腎張ぶりが発揮されることになりました。妙仙と一緒に寝始めるようになってからの4日間で、法現は「合計18回ものセックス」をしたのです。つまり、1日に4回以上の性行為をしていた計算です。

法現は妙仙と出会う以前から、周囲の人に「絶倫(精力がとても強いこと)」として知られていました。

法現は妙仙と出会う前に、お金を支払って妾(めかけ:愛人)を雇っていました。法現はひと晩で3回はセックスをしないと勃起がおさまりませんでした。その絶倫ぶりに妾の女性は恐くなって逃げてしまい、ひと月のうちに3度も妾が交代してしまいました。そして、妙仙との出会いに至ったのです。

法現の絶倫ぶりが原因となり、離婚へ

妙仙は法現とのプレイに最初のうちは耐えていました。しかし、法現から毎晩のようにセックスを求められるため体力が持たず、耐えきれなくなりました。そして、妙仙は両親に相談しました。妙仙の両親は本人の代わりに法現と話をすることにしました。

妙仙の両親と法現の話し合いで、法現は「セックスが多すぎるのは謝ります。私は医者なので妙仙には適切な処置をして、しばらく休ませます」と、妙仙の両親に伝えました。しかし話し合いをしたにもかかわらず、その日の夜に法現は妙仙に「セックスをしよう」と迫ったのです。

もう一度妙仙が両親に相談したところ、話を聞いた両親は激怒しました。そして、両親は妙仙を法現から引き離し、離婚させました。妙仙は親類の家に預けられました。しかし両親の怒りはこれだけではおさまらず、町奉行所(江戸時代の政治を担っていた役場)に法現を訴えようとしました。

しかし、結局妙仙の両親は踏みとどまり、訴訟を起こしませんでした。法現は妙仙と両親に対して詫び状を書きました。そして、法現は体調を崩してしまった妙仙の治療代として二分(にぶ:現代の5万円ほど)を支払い和解に至りました。

こうした事件から、法現の腎張ぶりは評判となりました。人々の中には法現のことを「人間ではなく、猫が化けているのではないか」などの冗談をいう人さえいました。

小林一茶(こばやしいっさ)も腎張だった

江戸時代を代表する俳人(はいじん:俳句を作る人)に小林一茶(こばやしいっさ)がいます。一茶も腎張として有名でした。

一茶の結婚は一般の男性よりも遅く、52歳で初めて妻を迎えました。江戸時代当時、52歳は十分に「老人」といわれる年代でした。しかし、一茶はそれまでの我慢を解放するかのように、セックスに励みました。

一茶は日記として、妻とのセックスを記録していました。そのため現代でも一茶の性生活を知ることができます。記録によると、一茶も前述の法現のように毎日複数回のセックスをしていました。

一茶は俳人として卓越した能力を持っていました。しかしそれだけではなく、精力も一般男性と比べて抜きん出ていたのです。

このように、江戸時代には腎張という非常に強い精力を持った人がいました。その精力は、現代人にも負けないくらいのものだったのです。


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