売春

家出少女が歓楽街に居続ける理由

家出といっても、その種類はさまざまです。親に心配をかけさせたいがために行う、小規模なものがあれば、本気で親元を離れたい子供が行う本格的なものもあります。

前者の場合は、比較的穏やかな結末を迎えます。一方で後者の場合は、原因が家庭環境の劣悪さにあることが多いため、深刻な問題に発展しかねません。家庭環境の劣悪さとは、例えば養育放棄や、虐待などが例として挙げられます。

こうした状況から逃げ出した家出少女の多くは、歓楽街へと行きつきます。歓楽街とは、飲食店や風俗店などが立ち並ぶ都会の街のことを指します。具体的には、東京の新宿や渋谷、大阪の梅田などを指します。

彼女たちが歓楽街において生計を立てていくためには、売春をするなどして積極的にお金を稼がなければなりません。歓楽街には、そもそも売春目的で来ている人も多く、売春の約束を結びやすいため、彼女たちにとってはメリットとなります。

しかし、それ以外にも、歓楽街には彼女たちを引き付ける要素があります。それは、「歓楽街の住人」たちの存在です。また、そんな住人が作りだした独自の互助的(ごじょてき:お互いに助け合うこと)な社会構造も、家出少女にとってはありがたいものなのです。

家出少女の「支援者」

家出少女が歓楽街で生きていく際に、最も驚異となるのが警察などの公的組織です。基本的に、警察のような市民の安全を守る存在であっても、家出少女たちにとっては、計画をぶち壊してしまう存在でしかありません。

そんな中、彼女たちの味方となってくれるのが、同じく歓楽街で働く人々です。具体的には、風俗嬢やホスト、スカウトマンなどの職業の方々を挙げることができます。

こうした人たちは、少なからず壮絶な体験をしている人が多く、家出少女の苦しみなどをきちんと理解してくれるケースが多いです。そのため、もし彼女が家出しているという事実を知ったとしても警察には通報しないし、むしろ親身になって相談に乗ってくれます。

歓楽街で働いているホストや風俗嬢などの多くは、かつて家出少女のような悲惨な境遇を経験しています。学歴や就労経験不問で上を目指すことができる歓楽街には、こうした人々が多く集まってくるのです。

また、スカウトマンはどちらかというとホストや風俗嬢などから搾取をする側の人間です。ただし、だからといって家出少女の敵というわけではありません。

彼らは、搾取者である一方で、支援者でもあります。担当している風俗嬢のメンタルが弱っている場合には、親身になって相談に乗ってくれるし、時に体を張って嬢を守ることさえあります。それが彼の仕事であるため、当然のことなのですが、守られた側にとっては心強く映ります。

互助的な社会構造

風俗界隈では、「代行業者」というものが存在します。これは、風俗で働く女性がより働きやすくなるように支援を行う業者のことです。

もちろん、家出少女もこうした代行業者にお世話になることがあります。お金のない彼女たちに低利子で融資をしたり、電話や住宅の名義貸しをしてくれたりします。

代行業者は、将来少女が18歳を超えた際、街の風俗で働いてもらいたいがために、こうした支援を行います。つまり、ギブ&テイクの関係です。

また、風俗に勤める女性が、家出少女を自宅にかくまうケースがあります。かつて、その風俗嬢もそうした女性に救われたという経験から、こうした手助けをするといいます。これも、世代をまたいで続いていく、歓楽街における互助的なシステムのひとつであるといえるでしょう。

このように、歓楽街ではお互いがお互いを勇気づけあうような社会構造ができています。ただし、歓楽街には基本的に暴力などによる非合法的な支配が隠れているため、あくまでも「歓楽街におけるひとつの顔」という程度の認識にとどめておくべきです。

「フル代行業者」で、偽りの身分を手に入れる少女

それでは、風俗業界の代行業者はどのようなことを行うのでしょうか。代行業者とは、風俗で働いていることを周りに知られたくない女性に、アリバイの電話窓口を用意してくれたり、とある理由で保証人などを用意できなかった女性に対して賃貸保証を行ってくれたりする業者のことです。

アリバイ用の電話窓口とは、代行業者が用意した「架空の会社」の電話窓口のことです。あらかじめその電話番号が記載された名刺を周りに渡しておけば、不審に思った家族が電話をしたとしても風俗店ではなく、「架空の会社」の窓口につながってくれるのです。

代行業者は、風俗勤めの女性にとって、とても重宝されるサービスを提供しています。ただし、中にはより手厚く風俗嬢の仕事を支援してくれる「フル代行業者」というものが存在します。

偽造の身分証なども発行してくれるサービスであるため、違法性は高くなりますが、込み入った事情を持つ女性に対しては至って好評です。

そして、こうしたフル代行業者の中には、家出してきた未成年少女をかくまうためのサービスを行っている業者もあります。少女の身分を全く新しいものにしてしまうことで、より本格的な家出生活を送ることができるのです。

フル代行業者の特徴

実は、フル代行業者は風俗界の人でも知らない人が多い業態です。それだけ、アンダーグラウンドな商売であるということを初めに認識しておく必要があります。

この業者が貸し出してくれる最も代表的なツールは、偽造健康保険証です。保険証は身分証明書としても使うことができるため、警察に職務質問されても一発でばれてしまうということはないでしょう。

また、身分を明かしたくない場合での契約が難しい、携帯電話やポケットWI-FIなどの通信インフラも貸し出してくれるといい、さらには住宅を借りるための名義も与えてくれるのだといいます。

つまり、身分を全く明かすことのできない方でも、フル代行業者と契約を結べば、人間らしい生活を送ることができるのです。

ちなみに、料金はそれぞれの貸与品ごとに設定されていることが多く、女性による払い忘れがないように先払い制となっていることがほとんどだそうです。

家出少女が欲しいものすべてが揃う

フル代行業者の主なターゲットは成人女性ですが、上にあげたサービスは全て家出した少女が欲しがっているものです。

未成年の場合、自分の力だけで行えることはほとんどなく、家を借りることはおろか、携帯電話を契約することすらままなりません。

しかし、フル代行業者が、彼女に「未成年ではないことを証明する身分証明書」を発行してくれれば、できることが限りなく広がるのです。まさに、家出少女にとって、これ以上ないサービスです。

また、未成年にお金を貸してくれる金融機関はまずありません。ただ、この業者は闇金としての側面も持っており、比較的低金利で借金をすることもできます。

ただし、風俗界では未成年に手を付けることがタブー視されています。もちろん、フル代行業者であっても、未成年に風俗の仕事を斡旋することには躊躇するでしょう。

そんなフル代行業者が、未成年に対してもサービスを提供する理由は、「その少女が18歳になったときに、風俗で働くことを見込んでいる」からなのです。つまり、この業者が未成年を相手にする目的は、彼女たちの青田買いだといえます。

あくまでも少女たちに唾をつけておくのが業者の目的であるため、収益自体は大したものではありません。だからこそ、お金を持っていない家出少女であっても安心して利用することができるのです。すなわち、これはお互いWIN-WINの関係だといえます。

都会にまで家出して、新たな自分を入手した家出少女ですが、結局当面の生活費は売春で稼ぐしかありません。フル代行業者からもらった偽りの身分では、一般企業に就職することは無理なのです。ただ、こうしたサービスによって、彼女たちは精神的に救われることでしょう。

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