出会い系サイトを利用していると「サクラ」の女性とメールを交わすことがあります。サクラは一見すると一般女性のように見えます。しかし実際は業者であり、実際に会うことはできません。
出会い系サイトの運営者は、アルバイトを雇ってサクラの業務を担当させることがあります。つまり「一般女性と出会える」とうたっている出会い系サイト運営者自身が、サクラを雇っているのです。
ここでは、「サクラアルバイトの実態」について紹介します。サクラがどのようなことを行なっているかを知ることで、出会い系サイトを利用する上での参考にしてください。
「データ入力のアルバイト」として求人が募集される
サクラのアルバイトは多くの場合「データ入力のアルバイト」として、求人が募集されます。
インターネット上にはさまざまな「アルバイト募集サイト」が存在します。こうしたサイトで、出会い系サイトのサクラバイトも募集されているのです。
さらに、ブログなどを見ていると表示される「インターネット広告」で、サクラバイトの求人広告を見かけることもあります。
また、サクラバイトは街中で配布されている「フリーペーパー」で募集されていることもあります。
このようにサクラのアルバイトは、比較的身近なところで求人が募集されています。
しかし目につきやすい媒体で求人が募集されているものの、多くの人はサクラバイトの存在について知りません。その理由はサクラバイトが「オフィスでのメール返信業務」や「データ入力のアルバイト」のように、「一般的なオフィスでのアルバイト」として募集されるためです。
例えばサクラのアルバイトは、以下のような求人内容で募集されます。
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このようにサクラの求人は、一見すると普通のオフィス業務であるように感じられるのです。しかも上記の条件は、一般的なアルバイトに比べるとかなりの好条件です。都心のオフィスで働くことができ、時給1,300円、さらに服装や髪型も自由というアルバイトは、あまりありません。
また、サクラ女性は出会い系サイトを利用する男性に、夜間もメールを返信する必要があります。
このようなことからアルバイトのサクラ業務は24時間行われており、「シフト制」となっています。そのため昼間の時間だけでなく、「深夜勤務も可能」のように求人が募集されることもあります。
ただ、オフィス業務は本来昼間に行う仕事です。そのため「深夜のオフィス業務」という点に不信感を抱き、求人への応募を控える人もいます。しかし人によっては、上記のような条件に惹かれて応募することがあるのです。
企業名を変えて求人広告を出すことがある
また、アルバイトを募集する企業は、「企業名」を求人広告内に記載する必要があります。ただ、出会い系サイトを運営する企業は、企業名を定期的に変更して求人広告を出しています。
この理由のひとつは「求人広告を定期的に出すため」です。後述しますがサクラのアルバイトには違法性があり、行うべきではない仕事です。
そのためアルバイト募集サイトやフリーペーパーでは、このようなアルバイトを募集する企業について、広告掲載を禁止しています。
しかし出会い系サイトを運営する企業は、企業名を変えて広告掲載の希望を出します。そのためバイト募集サイトやフリーペーパーの運営者は、出会い系サイト運営企業と気付かずに広告掲載を許可してしまうことがあるのです。
そして出会い系サイト運営者は、ころころと企業名を変えて求人広告を出し続けるのです。
また、企業名が変更される理由の2つ目として「アルバイトを検討する人に、不安を感じさせないため」ということも挙げられます。
「出会い系サイト運営会社でのオフィス業務」と聞くと、多くの人は「怪しい仕事なのではないか」と抵抗を感じてしまいます。
そのため出会い系サイトを運営する企業は、名称を変えて「クリーンな会社」を装って求人を募集しているのです。
出会い系サイト運営者が企業名を変更する理由は、以上のようなことが関係しています。
ちなみに出会い系サイトを運営する企業は、1社で複数の出会い系サイトを運営していることが多いです。10以上のサイトを、ひとつの企業が運営しているケースもあります。これらそれぞれの出会い系サイトに、サクラバイトが必要なのです。
サクラバイトの面接は簡潔に済まされることが多い
サクラのアルバイトに興味をもった場合、求人に応募して面接を受けることになります。サクラバイトの面接は、比較的簡単に済まされることが多いです。
面接を受ける場合、アルバイトの採用担当者から仕事内容についての説明はあまりありません。「働ける時間帯」や「どれくらいの期間、勤務できそうか」が確認されます。
また、面接は多くの場合、実際に作業が行われている部屋ではなく、小さな部屋で行われます。これはアルバイト希望者が仕事を始めるまで、出会い系サイト運営者が実際の職場を隠しておきたいためです。
サクラバイトは、20代の人が中心です。ただ、30代や40代の人であっても、採用してもらえる場合があります。
出会い系サイトを利用する男性はさまざまです。20代の若い人もいれば、30代や40代などの中年男性もいます。そのためこのような利用客に違和感のない返信をするために、30代や40代の男性であっても採用されることがあるのです。
ちなみにサクラバイトをする人は、8~9割が男性です。普通に考えると、女性にサクラのバイト業務を担当してもらうほうが、よりサクラとバレにくくなるように思えます。しかしサクラ業務は実際のところ、男性のほうが向いています。
女性はサクラのバイトを始めても、男性とのメールに嫌悪感を抱くことが多いです。
出会い系サイトを利用する男性は、「早く会ってエッチしたいよ!」「君と結婚したいと思っている」のようなメールを女性に送ることがあります。さらに、「自分のペニスを撮影した写真」などを女性に送る人さえいます。
このようなメールを毎日、何時間も読んでいると、女性は嫌になってくるのです。
これに対して男性の場合、「男性は女性からどのようなメールを送られると、嬉しく感じるか」を考えながらメールを送ることができます。そのため出会い系サイトを利用している男性が、メールを楽しんでくれやすいのです。
また、男性客が性的な内容のメールを送ってきたとしても、サクラバイトが男性であれば、それほどストレスに感じません。
以上の点から、サクラのバイトは女性よりも男性のほうが向いているのです。
サクラバイトの仕事内容
サクラバイトの仕事は、「出会い系サイトを利用する男性に対して、一般女性を装ってメールを送る」という作業が基本です。
出会い系サイトの多くは「ポイント制」という料金体系となっています。男性はポイントを購入して、出会い系サイト上の女性に対してアプローチします。
出会い系サイトでは「女性へのメール送信に5ポイント」「女性からのメール閲覧に1ポイント」のように、アクションごとに消費するポイントが決まっています。多くの出会い系サイトは、「1ポイント=10円」が相場です。
つまり出会い系サイトを利用している男性がポイントを購入するほど、出会い系サイトは利益が伸びることになります。
サクラのアルバイトは「サイトの利用客にたくさんポイントを購入させるため、興味を引くメールを送る」ということが目標です。
例えばサクラバイトが出会い系サイトの利用客に、「時間があったら会いたいね♪ タカシくんとデートしたいな☆」のようなメールを送るとします。
するとこのメールを受け取ったサイトの利用客は、非常に嬉しくなります。そして「もっとこの女性とメールを交わしたい」と考えて、ポイントを購入します。
しかしサクラバイトが「素っ気ないメール」や「話がかみ合わない内容のメール」を送ると、男性が「この女性とメールを交わしても、楽しくない」と感じます。そして男性は、出会い系サイトの利用をやめる可能性が高くなります。
このようにサクラの仕事はアルバイトではあるものの、出会い系サイトの利益に直結する仕事なのです。
サクラバイトの平均時給は1,200~1,300円です。ただ、「1時間にたくさんメールを送ることができる人」や「男性からの反応が高いメールを送れる人」はさらに時給が高くなります。高度なメール送信の技術をもった人の場合、時給2,000~2,500円などの場合もあります。
サクラバイトでは多くの場合、「1時間に送るべき最低メール数」が決まっています。「1時間に60通はメールを送ってほしい」のようにリーダーから伝えられ、アルバイトはノルマに従って業務をこなします。
多くの人は、最初からたくさんのメールを送ることができません。「どのようなメールを送れば良いのか」や「どれくらいの返信スピードが要求されるのか」が分かってきて初めて、ノルマをこなすことができます。
そのためサクラのアルバイトを始めると、多くの場合「試用期間」が設けられます。この期間中に新人のアルバイトは、「ノルマ通りメールを送れるかどうか」が確認されるのです。
出会い系サイトを運営する企業によっては広いオフィスの部屋一帯に、サクラバイト用のPC(パソコン)が1-~200台も並べられていることがあります。
サクラのアルバイトはこのPCに向かい、1時間に数十通、もしくは100通にも上るサクラメールを送っているのです。
ただここで、人によっては「サクラが送るべきメールはなくならないのか」と思うかもしれません。
しかし出会い系サイトは、全国の男性が利用しています。そのためサイトを利用する男性からのメールは、常に膨大な量があります。
サクラバイトがどれだけ返信しても、サクラに対してたくさんのメールがサイト利用客から届くのです。そのため基本的に、サクラが送るべきメールはなくなりません。
メールの送り方にはルールがある
出会い系サイトを利用する男性へサクラバイトとしてメールを送る際には、ルールがあります。出会い系サイト運営者は「サクラ用のメール送信マニュアル」を用意しています。アルバイトはこれに基づいて、メールをサイトの利用客に送るのです。
ただ、出会い系サイトの男性客が送ってくるメールは多種多様です。そのためときには、マニュアルのルールでは送り方に困るメールもあります。
この場合、アルバイトの人はリーダーや先輩アルバイトの指示を仰ぎ、メールを送信します。
サクラバイトを束ねるリーダーは、もともとサクラのアルバイトとして働いていた人が多いです。サクラバイトとして大きな成果を出すと、運営会社から管理の仕事を任されるようになるのです。
このような人は場合によって、運営会社から別の出会い系サイトについてもリーダーの役割を任されることがあります。
このように複数サイトのリーダーを務めるようになると、その人はより高収入になります。
サクラがたくさんいる出会い系サイトは「悪質なサイト」です。ただ、サイト利用客のポイント購入を促すような悪質サイトであっても、整った体制によって運営されているのです。
アルバイトが「チーム分け」されることもある
職場によってはアルバイトを、5~10人のチームに分けていることがあります。このような職場では「目標の返信数」が定められており、チームのアルバイトメンバーそれぞれがノルマ達成のためにサクラメールを送ります。
もしチームが目標を達成することができれば、会社から追加のボーナスを支給してもらえる場合があります。ただ、もしノルマを達成できないと、サクラバイトは逆に時給を減らされてしまうこともあります。
オフィス内の様子・雰囲気
サクラバイトはオフィス内にある大部屋で、一緒にメールの送信業務を行います。ただ、それぞれの人がメールを送る作業に集中しており、お互いが会話を交わすことは少ないです。
多くの人は無言でカタカタとPCのキーボードを叩き、サクラ女性としてメールを送っているのです。そのためサクラバイトが働く部屋にはたくさんの人がいるものの、比較的静かです。
また、バイトの服装は自由であり、さまざまな服を着た人がオフィスでPC作業を行なっています。その光景は、一般企業のオフィスとは異なる雰囲気があります。
大きな利益を上げている出会い系サイト運営企業は、数百人にも上るサクラバイトを抱えていることがあります。
ただ、それぞれのバイトはシフトが組まれているため、アルバイト全員が一度にオフィスへ出勤することはありません。
一般女性が出会い系サイトを利用する場合、19~23時に男性へメールを送ることが多いです。この時間帯は学校や仕事などから帰宅して、自宅でゆっくりと過ごす女性が増えるためです。
そのため上記の時間帯は、サクラバイトの出勤人数も多い傾向にあります。女性に合わせてサイトを利用する男性客からのメールも増えるため、バイトがたくさん必要になるのです。
23時を過ぎると、出会い系サイト内で交わされるメールは少なくなります。ただ、深夜の午前2時ごろに、ふたたび男女で交わされるメールの量が増えます。
この時間帯はいわゆる「夜型の女性」や「キャバクラなどの水商売で働く女性」が、時間を持て余しやすいです。深夜になると退屈になった女性が、出会い系サイトを利用することが増えるのです。
そのためこのような時間帯でも、19~23時と同様にサクラバイトの出勤人数が多くなります。
女性になりきって、サクラメールを送る
サクラバイトが業務に使うPCは、全てネットワークによって連携しています。そのためサイトの利用客がサクラに送ったメールは、全てのPCから確認できるようになっています。
そのためサクラバイトは自分の席が決まっているわけではなく、空いている席へ自由に座って作業をすることが多いです。
サクラバイトがPCを立ち上げると、返信を送るべきメールが一覧で表示されます。このメールは全て、出会い系サイトの利用客から送られてきたメールです。サクラバイトは次々にこのメールへ返信する必要があるのです。
サクラバイトはマニュアルに沿って、サイトを利用する男性客にメールを返信していきます。このときサクラバイトは、女性を装ってメールを送る必要があります。そのため「いかに一般女性に近い雰囲気が出せるか」が大きなポイントになります。
出会い系サイトを利用する男性は、「この女性はサクラのようだ」と気付いたり、不信感を抱いたりすると、すぐにその女性へのメールを中断してしまいます。また、場合によってはサイトの利用自体をやめてしまうこともあります。
そのためサクラバイトは「できるだけ男性客を惹きつけるような文面」で、メールを送る必要があるのです。
サクラバイトは1人につき、5人ほどの女性を装ってメールを送ることが多いです。つまりサクラバイトは、5人の女性になりきってメールを送る必要があります。
サクラバイトを束ねるリーダーは、サクラのプロフィールを設定していることが多いです。
「ミサトというサクラ女性は20歳でアパレルの専門学校に通っている。カフェでアルバイトをしている。容姿は可愛い雰囲気で痩せ型。彼氏はいるけれど、最近は関係がマンネリ気味になってきた。
そこで新しい出会いを求めて、出会い系サイトを利用した。休みは土日で、彼氏と出かけたり、友達と遊びに行くことが多い。趣味は料理と映画観賞」
出会い系サイト上では、男女がプロフィールを登録することができます。ただ、サクラバイトが男性への返信をしやすいよう、多くの場合は上記のような「サイトの利用客には見えないプロフィール」が決められています。
サクラバイトは「サクラバイト用のプロフィール」を把握してメールを送らないと、「違和感のあるメール」を送ってしまいやすいです。
上記の例でいうと、ミサトという女性は土日休みであるため、平日に「今日は休みだよ」のように送ると、ミサトとメールを交わしている男性客が違和感をもちやすいのです。そのためサクラバイトは早くメールを送るよう意識しつつ、プロフィールに沿った的確なメールを送る必要があるのです。
また、場合によっては複数のサクラバイトが、同じサクラ女性を担当する場合もあります。つまり「AさんとBさん」のように複数のバイトが、1人のミサトというサクラ女性を装うことがあるのです。
これはバイトによって、勤務できる時間が違うためです。バイトのAさんが昼間のみしか働けない場合、ミサトは昼間にしか返信しない女性になってしまいます。
そのためバイトのBさんがAさんの引き継ぎを行い、夜間にミサトを装って男性客に返信するのです。
そのためサクラバイトはメールを送り始める前に、担当するサクラ女性のメール履歴を確認しておく必要があります。
自分以外の人がサクラ女性になりきって、メールを送っているためです。そしてそれまでの内容と食い違わないよう、メールを送る必要があるのです。
また、出会い系サイトの利用客は女性に「直接会おうよ」と提案することがよくあります。しかしサクラの女性は「架空の女性」です。サクラバイトは男性客が「直接会いたい」とメールしてきたら、上手くはぐらかす必要があります。
サクラバイトは「今週の土日は友達と遊びに行く予定が入ってるの」「最近バイトが忙しくて、あなたと会える時間がとれないな」「週末は友達の結婚式に行くんだ」のように言い訳をして、男性客からの誘いを断るのです。
男性客によってはサクラバイトがはぐらかしていると、「いつも会ってくれないよね。ミサトちゃんは僕のこと嫌いなの?」のようなメールを送ってくることがあります。
この場合サクラバイトは、「そんなことないよ。ミサトはタカシくんのこと好きだよ。でも今週は会えないの。会えたときは、料理作ってあげるね☆」のようにメールを送り、何とか男性客の興味を保つのです。
サクラバイトを長く続ける男性は日々このようなメールを送る中で、「先を読む力」や「男性心理」を理解できるようになります。
男性客からのメールに対して適当に返信していると、すぐにメールが続かなくなってしまいます。そのためサクラバイトは、常にこれからの展開を予測して、返信メールを送っているのです。
また、サクラバイトは日々の業務を通して「どのようなメールを送れば、男性が喜ぶのか」を理解できるようにもなるのです。
サクラバイトが返信する、さまざまなメール
サクラバイトは日々、サイト利用客からのさまざまなメールに返信する必要があります。その中には、返信に困るものもあります。特にサクラバイトを始めて間もない人の場合、どのように返信すれば良いか迷うことが多いです。
多くの人はサクラの仕事に対して、「メールを送るだけなので、簡単な仕事なのだろう」と思ってしまいがちです。しかしサクラバイトはサイトの利用客を騙すために、メール文面の作成に頭を悩ませることがあるのです。
LINEのIDやメールアドレスの交換要求
男性客によってはポイントの消費を抑えるために、女性と出会い系サイト上で「LINEのID」や「メールアドレス」を交換しようと試みることがあります。
余談ですが、直接連絡できるメールアドレスを「直メ(ちょくめ)」といいます。ただ、近年はLINEなどコミュニケーションアプリのID交換が主流となっており、直メの交換は少なくなっています。
出会い系サイト上で女性と連絡先を交換する場合、男性は自分のLINE・IDやメールアドレスを、出会い系サイト上で交わすメールに記載します。一般女性であれば、その連絡先にメッセージを送ってくれます。
しかしサクラは男性客に、出会い系サイト上でのメールを続けさせる必要があります。男性客から「ミサトちゃん、LINEのIDを教えてよ」のようにメールがきたら、サクラバイトは返信の仕方を工夫する必要があるのです。
例としてサクラバイトのAさんが、上記のメールを男性客から受け取ったとします。この男性は追加で「LINEのIDを教えてくれないなら、俺はミサトちゃんへのメールをやめるよ」と連絡してきました。
Aさんが装うサクラ女性はこの男性にLINEのIDを教えないと、出会い系サイト上でのメールを中断されてしまうのです。すると、出会い系サイトの利益が減ってしまいます。
そのためAさんは「友達が知らない男性にLINEのIDを教えて、しつこくメッセージを送られて困っていたの。だからLINEのIDは教えたくないんだ」のように、男性に理解を求める返信をしました。
しかしこのようにメールを送っても、男性は「俺はミサトちゃんが嫌がることはしないよ。しつこいLINEなんて送らない! だからLINEのIDを教えてよ」のように、さらに追求してきました。
Aさんは内心で「このようなメールを送る時点で、この男性はミサトにとって既にしつこいだろう」と思いながら、さらに男性へメールを送りました。
「分かった。あなたのことを信じるよ。あとで連絡するから、先にあなたのLINE(のID)を教えてもらえる?」
Aさんがこのようにメールを送ると、男性からはすぐにLINE・IDを記載したメールが届きました。この男性は今後、ミサトというサクラの女性からLINEで連絡がくると思っています。
普通であればAさんはこの男性に対して、LINEで連絡しなければいけないように思えます。しかしAさんは「LINEのID、届いていないよ。送ってくれた?」と、とぼけた返信を男性に送ったのです。
男性はこの後「本当に送ったよ。念のためもう1度、LINEのIDを送るね」と返信してきました。Aさんは「再び『届いていない』と返信することは気まずい」と考えて、次の手を打ちました。
Aさんは男性に「LINEのIDは届いたけど、文字化けしているみたい」と返信し、ID交換を避けたのです。
男性はミサトに「どうして文字化けするの? おかしいね…」と聞いてきました。Aさんは「私も分からないよ。もしかしたら直接のやり取りを禁止するために、出会い系サイトがLINEのIDを文字化けする仕様になっているのかも」のように返信しました。
男性は「そういうことか…。残念だね」と返信して、LINEのID交換を諦めました。Aさんは「何とか男性からの要求をかわすことができた」と安心したのです。
サクラ女性に会いたがる男性
出会い系サイトを利用する男性は、サイトで知り合った女性に「どうしても会いたい」と思うことがあります。そして男性によってはその気持ちが強いあまり、女性をしつこく誘ってしまうことがあります。
例としてアルバイトのBさんも、しつこく会いたがる男性客へのメール対応に困っていました。
Bさんは「マミ」というサクラ女性を担当していました。マミは「東京に住んでおり、新宿で仕事をしている」というプロフィール設定でした。
ある日、マミに「マミちゃん、今日会える?」というメールが届きました。サクラ女性にこのようなメールが届くことは、日常茶飯事です。
Bさんは「また『会いたい系』のメールか…」と感じながら、マミを装って「今日は仕事で忙しいの~。ゴメンね(><)」と返信しました。
しかしこの男性は「仕事はいつ終わるの? 実は今日、僕は仕事が休みで、名古屋から東京に来ちゃったんだよね」とメールを送ってきました。この男性は名古屋に住んでおり、マミに会いたくなって東京まで来てしまったのです。
Bさんは「マミは実際に存在しないのに、この男性はマミに会いたいと思って東京に来ている。申し訳ないけれど、マミには会えないよ」と残念な気持ちになりました。Bさんは男性に「東京に来てるの!? 会いたいけど、今日は残業で忙しくて無理なの…」と返信しました。
しかし、この男性は諦めませんでした。「大丈夫だよ! マミちゃんも忙しいだろうから、いつまでも待ってるよ!」と返信してきたのです。
Bさんは「正直なところ、面倒くさい」と思いました。Bさんは「この男性は一途にマミのことを想っているようだ。
しかしマミのことを考えるなら、予定を確認してから東京に来たほうが良いのに」と思ったのです。Bさんは男性に「今日はごめんなさい」と返信しました。
男性は「今、新宿にいるんだ。マミちゃんの仕事が終わるのを待ってるよ。僕のことは気にしないで、仕事を頑張ってね」と返信してきました。この男性はマミに会いたいあまり、ついに「マミの職場」という設定である新宿へ来てしまったのです。
Bさんは、この男性へのメールを夜中まで中断することにしました。そして深夜の午前0時を過ぎたタイミングで、男性に「今、家に帰ってきたよ~。途中から仕事が忙しくて返信できなかった(><) 今日はゴメンね。またメールしようね♪」とメールを送りました。Bさんはしつこく会いたがる男性を、強引に振り切ったのです。
直接会う約束を交わした場合
サクラバイトは基本的に、会話を引き延ばすように男性客とメールを交わします。ただ、場合によっては話の流れから、「直接会う約束」を交わしてしまうことがあります。
サクラバイトのCさんは、「ルイ」という女性の担当でした。ルイは「横浜市に住むOL」という設定です。
Cさんはある日、男性客からルイへ届いたメールに動揺しました。この男性は「今、横浜駅に着いたよ。楽しみに待ってるね~」とメールを送ってきたのです。
ルイのメールの履歴を確認すると、Cさんではない別のサクラバイトが、この男性と直接会う約束を交わしたようでした。
サクラ女性とサイトを利用する男性客は、当然ながら直接会うことができません。Cさんは「何とかこの男性と会う約束を『すっぽかす』しかない…」と考えました。
男性からメールが届いた時間は、ルイとこの男性が約束した待ち合わせ時間の20分前でした。Cさんはすぐにメールを返信しようと考えましたが、冷静になり、少し時間を置くことに決めました。
待ち合わせ時間から30分ほど過ぎたとき、この男性からさらにメールが届きました。男性は「待ち合わせの時間を過ぎているよ。もう着いた? 今どこにいるの?」と、ルイの状況を確認するメールを送ってきました。
Cさんはこの時点でようやく男性に「ゴメン…。寝坊しました(>人<)」とメールを送りました。Cさんは、「この男性はおそらく怒るだろう。そしてデートは延期か中止になるはずだ」と予想したのです。
しかし男性はCさんの予想とは裏腹に、「大丈夫だよ。カフェで待ってるね」と、平気な様子のメールを送ってきました。
Cさんがメールを送らずにいると、この男性から「あとどのくらいかかる?」とメールが届きました。男性は「そろそろルイが、待ち合わせ場所に到着する頃だろう」と考えているのです。Cさんは「あと15分くらいかな! 髪の毛のセットと服選びに時間がかかっちゃった!」とやり過ごしました。
この男性は10分後くらいに再び「着いた?」と、メールを送ってきました。
Cさんは「ルイが待ち合わせ場所に到着するはずがないだろう! ルイは東京からメールを送るサクラ女性だ!」と内心で思いながらも、次に送るメールを考えました。
男性はもうすぐルイが到着すると思い込んでいます。ここで適切なメールを送らないと、男性は架空の女性を待ち続けることになってしまいます。
そこでCさんは「やばい…。急いでたら階段でこけちゃった。脚がすごく痛いし、服もちょっと傷んじゃった…。今日は会えないかも(><)」と返信しました。Cさんは男性との約束を、上手くキャンセルしようと試みたのです。
すると男性は「大丈夫? 今、近くにいるんだよね? 助けに行くよ!」と返信してきました。この男性はルイを気遣いつつ、直接会うことを諦めていないのです。
Cさんは「頼むから諦めてくれ! ルイはいないし、俺は健康だ!」と思いながら、この男性へメールを送りました。
「歩くのが大変だから、タクシーで病院に行ってみるね。今日はゴメンね(汗)」と、Cさんは男性へメールを送り、何とかルイと男性との約束をすっぽかしたのです。
「エッチな内容」のメールへの対応
出会い系サイトを利用する男性客は、女性に「エッチな内容のメール」を送ることがあります。男性はこのようなメールを送ることで、女性の反応を楽しむのです。
サクラバイトのDさんは「エリ」というサクラ女性を担当していました。Dさんがバイトに出勤して過去のメール履歴を確認すると、エリと「トモ」という男性が、他愛もない雑談メールを交わしていました。
- トモ:「エリはデートに行くとしたら、どこへ行きたい?」
- エリ:「わたしは水族館に行きたいな。あとオムライスを食べたい! トモくんは何したい?」
- トモ:「俺はご飯食べて水族館へ行った後、海へ行きたいな」
トモとエリのやり取りはここで終わっており、Dさんはここからトモという男性に返信する必要がありました。
Dさんはトモが計画するデートプランに興味が湧き、「海に行ったあとは、どうするの?」と尋ねるメールを送りました。
するとトモは「海へ行ったあとは、エリとゆっくり過ごしたいな」と返信してきました。つまりトモはデートで海へ行った後に、エリをエッチへ誘いたいのです。Dさんは「出会い系サイト上でエッチに誘うとは、トモは積極的だな」と感心しました。
Dさんはトモへ「ゆっくり過ごすって、何するの?」と少しとぼけて返信してみました。するとトモは「エリを幸せにするんだよ♪」とすぐに返信してきました。
Dさんは「このような恥ずかしいセリフ、よく言えるものだ」とさらに感心して、「エリを幸せにしてくれるの? どんな風に?」とメールを続けました。
するとトモは、「俺のテクニックで、エリを溺れさせてやるよ! 俺(のセックス技術は)、すごいから」と返信してきました。
Dさんは内心で「このメールを読んでいる人は、男なのだよ」と思いながら、「そんなにすごいの? 興味あるな~(笑)」とトモへメールを送りました。
するとトモは「すごいよ! 俺の腰は、マッハで動く!」とメールを返してきました。Dさんは「『マッハ』という言葉は、最近あまり使わないな」と思いながらも、トモのメールを可笑しく感じました。Dさんはトモを喜ばせるように「え~! それはスゴイね(><)」とメールを送りました。
このように出会い系サイトを利用する男性客は、さまざまなメールを女性に送っています。サクラバイトはそのメールを読みながら慌てたり、面白がったりしているのです。そしてサクラバイトは日々、このようなメールへの返信を続けています。
サクラバイトは行なって大丈夫なのか
サクラバイトの仕事内容は基本的に「オフィスでメールを送るだけ」です。オフィスはエアコンがつけられており、快適な環境で仕事ができます。また、前述のように時給が良いため、見方によっては「魅力的な仕事」といえます。
ただ、サクラバイトは行うべきではありません。その理由は、「警察に逮捕されてしまう可能性があるため」です。
これまで起きた事件に、「出会い系サイト運営会社の従業員とアルバイトが『サイトの利用客からお金をだまし取った』として、詐欺容疑で逮捕された」という例があります。
つまりサクラを装って男性客にお金を使わせると、「詐欺」として逮捕される可能性があるのです。
そしてこの場合、出会い系サイト運営会社の従業員だけでなく、サクラのアルバイトも逮捕されてしまう可能性があります。何も知らずに「楽な仕事だから」と考えてサクラバイトを始めると、知らないうちに詐欺へ加担することになる可能性があるのです
現状、サクラバイトを雇っている出会い系サイト運営企業の全てが、警察に検挙されているわけではありません。もしかしたら摘発されずに、サクラバイトを続けられる可能性はあります。ただ、警察に狙われた場合のリスクを考えると、サクラバイトを行うべきではないのです。
サクラバイトをした経験のある人によっては「ある日突然、オフィスがもぬけの殻になっていた」という経験をしたことがあります。これは警察による摘発を恐れた運営会社が、オフィスを撤去してしまうのです。
この場合、まだ受け取っていない分の給料は、そのままサイトの運営会社から支払ってもらえないことが多いです。サクラバイトは条件が魅力的に感じられるものの、このような危険が伴うのです。
出会い系サイトの中には長年運営されている「優良出会い系サイト」があります。このようなサイトの運営会社は、サクラを雇っていません。
優良出会い系サイトの運営会社はむしろ、「サクラを監視する体制」を整えています。
サクラは出会い系サイト運営会社がアルバイトを雇うだけでなく、暴力団などが運営する売春業者(セックスをサービスとして提供する業者)の女性である場合もあります。
後者のサクラを排除するため、優良出会い系サイトはサクラの監視体制を整備しているのです。
優良出会い系サイトは、サクラがいなくても利益を上げることができます。サクラバイトを雇う出会い系サイト運営会社は悪質であるため、アルバイトの面接に行ったとしても、働くことは避けましょう。
出会い系サイトのサクラバイトについては以上です。出会い系サイトによってはこのように、サクラをアルバイトとして雇い、サイトの利益を増やしていることがあるのです。サクラバイトは簡単に儲かる仕事のように思えますが、警察に検挙される可能性があります。そのため、行うべきではありません。
また、優良な出会い系サイトであれば、上記のようなアルバイトが装うサクラに出会うことはありません。一般女性と出会いたいのであれば、必ず優良サイトを利用してください。