近年、風俗もレベルが高くなり、無店舗型で営業している店も多くなりました。もちろん、店舗型のソープランドなども人気を誇っています。
一方で、非合法ながらも、売春という文化は日本にも根強く残っています。風俗では体験できないことを無理にでもやりたい男性に対して、売春は一定の需要があるのです。
素人目では両者とも同じように、「体を売って」生活をしているように映ります。しかし、風俗嬢と売春婦には決定的な違いがあります。これは、「プロ意識の差」ともいえるでしょう。
また、こうした状況から、風俗嬢が売春婦を見下す傾向が生まれてしまいました。そして残念なことに、この傾向は貧困にさいなまれている売春婦にとって、極めて不利に作用してしまっているのです。
切磋琢磨する風俗嬢
冒頭でも述べた通り、風俗業界は全体的にレベルが向上しています。このレベルとは、突き詰めてしまえば、「嬢ひとりひとりのレベル」に由来していることがわかります。
かつて、ソープランドなどの店舗型風俗においても、とんでもない嬢(容姿を含めてレベルの低い嬢)に相手をされるということもよくありました。
ただし、デリヘル(デリバリーヘルス)などの風俗が増えたことにより、客は事前に嬢の容姿やプロフィールなどをある程度まで確認できるようになりました。そうしたことから、それぞれの客の好みに応じた嬢が相手をしてくれる確率も上がったのです。
こうした風俗業界のトップに君臨する女性は、ファッション誌はすべて読破し、ジムなどに通うことでスタイルを磨くなどの努力を重ねています。また、客の好みに合わせて、自分の持っているキャラを自在に変化させる技術も磨き、リピーターを増やす努力も行っています。
もちろん、これはトップの風俗嬢に限った話ではありません。その下層に属する嬢であっても、自分ができる最大限の努力をして上を目指すのです。このことからもわかる通り、こうした努力は風俗業界全体で行われているものです。風俗嬢のレベルが高くなったのには、こうしたからくりが隠されています。
努力できない売春婦
一方で風俗に属さず、売春などでお金を稼ぐ女性の場合は、風俗嬢たちと打って変わって努力をしていません。ただし、この言い方には少々語弊があります。彼女たちは努力をしたくても、できない状態にあるのです。
そもそも、彼女たちが風俗に入れない一番大きな理由は「容姿が悪い」という理由が大きいです。容姿が悪いために、全体的にレベルの向上した風俗業界では、通用しないと判断されるのです。
ただし、本気で風俗嬢を目指したいのであれば、顔を整形するという手段も存在します。ところが、売春で身を立てている女性の大半は、そうした資金を持っていないことがほとんどです。そのため、彼女たちはスタートラインにすら立てないのです。
見下された売春婦
売春婦は、嬢や風俗店経営者などから、厳しい目を向けられています。
ある風俗店経営者は、「もし、ルックスの悪い売春婦が面接に来て『NGプレイはありません』とアピールしても採用しない」といいます。
そもそも、ルックスがいいことは風俗において大前提ですが、売春はそうしたルックスを持たない女性だからこそ、手を付けてしまう仕事なのです。そのため、悲しいことにそうした求職者に対しては、不採用と通知せざるを得ないのです。
また、現職の風俗嬢も彼女たちに対して苦言を呈します。風俗嬢たちは、貧困から売春に手を出してしまった女性と近しい生い立ちを持っていることが多いです。
ただ、嬢は売春婦と違い、そうした状況から抜け出すことに成功しています。そのため、売春の世界から逃れることのできなかった女性を「努力不足」として一蹴してしまうことが多いのです。
もちろん、風俗は貧困女性を救済するための慈善事業ではありません。ただし、業界に属している人間が多少なりとも貧困女性の現実を理解できていれば、状況はわずかながらにも変わったのかもしれません。