飛田新地の風俗店は15分で11,000円の料金が相場となっています。一般的な風俗店では60分で10,000~15,000円が平均的な相場となっており、飛田新地は高級店に属するといえます。そのためいわゆる「儲かるビジネス」と考えられがちですが、実際は店を経営していく上では大変なこともあります。
ここでは、飛田新地の風俗店経営について紹介します。
人気が高い女性がいるときは、良いビジネス
飛田新地の風俗店が大きく利益を上げられるかどうかは、「店に在籍する風俗嬢」が大きなポイントになります。ルックスが良くて男性客に対して愛情を込めたサービスをできる女性は、店の「看板娘」として利益に大きく貢献します。
人気の高い女性が1人か2人在籍しているだけで、店の経営は大きく安定します。トップの人気を誇る女性が大きな売上を上げてくれるのに加えて、その女性の頑張りに刺激されて、ほかの女性も頑張るようになるためです。
こうなると店の経営者の仕事は少なくなります。店の営業中、経営者は「やり手婆(やりてばばあ)」と呼ばれる店の呼び込み役の女性に風俗嬢の管理を任せるだけで問題ありません。その間、経営者はプライベートの時間を過ごします。
経営者は店の営業が終わると「車で風俗嬢を自宅に送り届ける業務」があります。しかし、利益が十分に出ている場合はお金に余裕があるため女性にタクシー代を出し、女性に自分で帰ってもらうことができます。
このように、上手く店が回っているときには「飛田新地での風俗店経営は良い商売」と考える人は多いです。
売上の浮き沈みが激しい
しかし実際のところ、飛田新地の風俗店は経営が安定しないことが多いです。それは「短期間で女性が辞めてしまうことが多いため」です。
飛田新地で仕事を始める女性はお金が必要な人が多いです。中には500万円などの大きな額を得たいと考えて飛田新地にくる女性がいます。これについては、飛田新地では頑張れば現実的に得ることができる収入です。
飛田新地の女性では、仕事に慣れてくると1日で10~30万円の収入を得る人がたくさんいます。20日仕事をすると、ひと月で200~300万円ほど得られることになります。目標の金額が貯まるとすぐに仕事を辞める女性は多く、店に在籍する女性は入れ替わりが激しいのです。
そのため人気が高い風俗嬢を採用できたとしても、経営者は気を抜くことができません。その女性が辞めてしまうとすぐに売上は激減してしまいます。そして代わりになる女性を採用できないと、最悪の場合は店を閉店せざるを得なくなる可能性さえあるのです。
飛田新地の風俗店経営を長く続けている人は、大きな売上が上がっているときにも新しい女性のスカウト活動を積極的に行っています。そして、なるべく経営を安定させられるように努力しています。
女性の管理が大変
飛田新地の風俗店経営でもうひとつ大変なこととして、「女性の管理」が挙げられます。風俗嬢の中には社会人としてのマナーが欠如している人がいます。無断欠勤や遅刻などをすることが多く、店の開店間際に休みの連絡がくることもよくあります。
こうした急なトラブルのために、代わりに入ってくれやすい女性を確保しておくことも経営者の大切な仕事です。しかしその女性も数ヶ月で辞めてしまう可能性があり、経営者は気が抜けません。
飛田新地でこれから風俗店経営をする人の中には、「美人の女性と一緒に仕事できる」という甘いイメージを抱く人がいます。しかし、現実は女性の自由奔放な行動に振り回されることがよくあるのです。
飛田新地では夜中の23時55分になるとチャイムが鳴ります。そして、24時までには全ての店が閉店します。経営者は店を閉めると風俗嬢を車で自宅に送り届けます。そして、その後に女性のスカウトのためにキャバクラなどに出向くこともあります。
経営者が自宅に到着するのは夜中の2~3時です。そこから睡眠を取り、翌日10時には目覚めて次の日の営業の準備を始めます。飛田新地の風俗店経営は、一般的なサラリーマンと似たスケジュールで仕事をこなしているのです。
飛田新地の風俗店で働く女性の求人方法
飛田新地での風俗店経営は「楽に儲かるビジネス」と考えられがちです。たしかに良いときには、経営者の月収が500万円ほどになる場合があります。しかし、売上の大きな変動や風俗嬢への対応の大変さを考えると、「割に合わない」と考える経営者は多いのです。
それでは、飛田新地の風俗店はどのように求人を行っているのでしょうか。風俗店は求人募集をすることで、こうしたルックスの良い女性を集めています。
女性から応募してくれるフリーペーパーへの広告での求人
飛田新地の風俗店が主に活用している求人方法として、「フリーペーパーに掲載される広告での求人」があります。フリーペーパーの運営会社に広告掲載料を支払うことで求人を出すことができます。
広告を出すことのメリットとして、「女性から応募してくれること」が挙げられます。フリーペーパーの広告を見て応募する女性は意外と多く、さまざまな女性からの応募があります。
ただ、応募してくる女性の全てが「飛田新地で働けるレベルの女性」というわけではありません。不特定多数の女性に向けて求人を出しているため、中には採用するとトラブルになる恐れがある女性もいます。
例として、「薬物中毒の女性」がいます。薬物依存から借金を作ってしまい、飛田新地で働こうと考える女性がときどきいるのです。
また、「身分証明書を提出できなかったり、年齢を詐称したりしている女性」もトラブルになる可能性が高いです。
こうした女性を採用してしまうと、女性が辞めたときにトラブルが起こります。女性が退職後に問題を起こした際に、「飛田新地の店で働いていた」と警察に話してしまうことがあるのです。すると警察が店に家宅捜索に来る場合があり、そのような状況は経営者にとって非常に危険です。
薬物中毒に陥る女性の中には美人な人がいます。飛田新地の経営者は常にルックスの良い女性を求めていますが、いくら美人であっても薬物依存の女性は決して採用しないようにしています。
デリヘル嬢やキャバ嬢を引き抜く
飛田新地の風俗店の求人方法の2つめとして、「デリヘル嬢やキャバ嬢(キャバクラで働く女性)のスカウト」も行われています。特にキャバ嬢にはルックスが良い女性が多く、飛田新地で通用する女性は多いです。
風俗店の経営者は自分でこれらのサービス(デリヘル、キャバクラ)を利用したり、スタッフに利用させたりして女性と接触します。そして、仕事の不満を聞き、さりげなく飛田新地の店に興味を持つように促すのです。
例えばスカウト目的でデリヘルを利用するとき、ここで女性とプレイしたり、その場の会話を楽しんだりしてしまうとスカウトは上手くいきません。女性に「下心がある男性だ」と思われてしまうためです。そのため女性と対面したら、飛田新地の経営者やスタッフは服を一切脱がずに女性と会話をします。
女性に対しては、最初から仕事の不満を聞くわけではなく、女性のプライベートなどを聞いていきます。そして、徐々に仕事の話に移行していく、という流れです。この場合、女性に不満を話させる巧みな会話力が必要です。
こうしたスカウト行為は、良いと思った女性に自分からアプローチすることができます。しかし、その反面デメリットもあります。それは、「暴力団関係者が出てくる可能性がある」ということです。
飛田新地の風俗店は建前上「料亭」という扱いになっています。飛田新地の風俗店は「飛田新地料理組合」という団体に加盟しており、暴力団との関わりを排除しています。しかしデリヘルなどは暴力団関係者が経営していることがあり、スカウトが発覚すると暴力団員が制裁を行ってくる可能性があるのです。
暴力団によって行われる嫌がらせはケースバイケースですが、スタッフが暴力団員の事務所に軟禁されたり、金銭を要求されたりする場合があります。
女性を同業の店から引き抜く場合もある
飛田新地の風俗店の求人方法として、女性をほかの飛田新地の店から引き抜く場合もあります。ただ、基本的に他店の女性の引き抜きは違反行為とされています。飛田新地料亭組合からも注意がされ、最悪の場合は店の経営ができなくなる可能性があるため、頻繁には行われていません。
どうしても店で働いてほしい女性がいた場合、引き抜きをしたい経営者はマナーを守って行います。
マナーには「スカウトしたい女性が他店を正式に辞めたあとに交渉を行う」、「女性に交渉する前に、現在働いている店にその旨を伝える」などがあります。
これらは飛田新地の風俗店の間での暗黙のルールとなっているのです。
呼び込みの女性の採用活動
飛田新地で風俗店を経営する際にはハイレベルな女性を採用することが大切です。しかし、男性客の呼び込みをする中年女性の採用も非常に大切なポイントです。呼び込みの女性が男性客に声をかけて効果的な売り込みをしてくれることで、店の売上はアップするのです。
呼び込みの女性を雇う方法は、多くの場合「紹介」です。飛田新地の風俗店で呼び込みをしている女性から、誰か有望な女性を紹介してもらうのです。飛田新地では呼び込み女性同士のネットワークが形成されており、仕事に空きのある女性をほかの女性が把握していることがよくあるのです。
新しく飛田新地で店を出す経営者は、他店の経営者や呼び込み女性と仲良くなり、自分の店で働いてくれる呼び込み女性を見つけるのです。
呼び込み女性の仕事
飛田新地の風俗店がほかの地域の風俗店と大きく異なる点として、店に「呼び込みの女性(やり手婆:やりてばばあ)」がいることが挙げられます。この呼び込み女性はどのような仕事をするのでしょうか。
飛田新地の風俗店は店の正面の扉が開けられており、そこにやり手婆と呼ばれる呼び込み女性と風俗嬢が座っています。呼び込み女性は男性客に声をかけて「店の女性を見ていって」と伝えます。
男性客は女性のルックスを直接確認してプレイすることができます。そのため、ほかの風俗店でときどきある「女性の写真を見て良いと思ったけれど、対面してがっかりした」という失敗がありません。
ただ、飛田新地の風俗嬢はどの女性も非常にルックスがハイレベルです。そのため、「目移りしてどの女性と遊ぶかを決断できない男性」がいます。このときに呼び込みの女性が売り込み役として活躍するのです。
優秀な呼び込み女性(やり手婆)は話術に長けている
飛田新地にある風俗店の呼び込み女性は多くの場合、もともと飛田新地で風俗嬢として仕事をしていた女性です。自分の体験を元にして働いているため飛田新地に詳しく、頼れる存在です。風俗店の経営者や風俗嬢は、呼び込み女性のことを「オバちゃん」と呼びます。
呼び込み女性は人によって仕事の仕方に差があります。その中でも優秀な女性が身に付けているのが「話術」です。巧みな話術で男性客を呼び止め、遊んでいってもらえるように促します。
たとえば「お兄さん、見ていってね!」と声をかけるだけでは、男性客は足を止めてくれません。しかし、腕の良い呼び込み女性は、これに加えて「意外なひとこと」を言います。そして、自然に男性客の足を止めることができるのです。
女性によっては飛田新地の店を見て回っている男性客を確認しておき、「自分(あなた)、4週目やな」、「もう6週目やけど、そろそろ遊ぶ店を決めなよ」というように声をかけます。男性客は店のスタッフからそこまで見られていると思わないため、驚いて足を止めてしまうのです。
こうした話術をやり手婆は身に付けており、それを駆使して男性客を店に上がらせるのです。「上がる」とは店を利用することを指します。飛田新地では店の2階に女性とプレイ(セックス)をする部屋があり、女性と遊ぶために2階に「上がる」ことに由来しています。
呼び込み女性は風俗嬢が働きやすい環境を作ってくれる
呼び込み女性は風俗嬢に対しても配慮してくれます。
男性客によっては「ひとつの店で複数の女性と遊びたい」と考える人がいます。
たとえば、「男性客が以前に遊んだことがある女性」と「遊んだことはないけど、興味のある女性」の2人が一緒に並んでいたとします。男性客が遊んだことがない女性を選んだ場合、以前に遊んだことがある女性は精神的に傷ついてしまう可能性があります。
飛田新地は風俗嬢の競争が激しく、女性によっては自信を失ってしまう人がいます。そのため呼び込み女性は、一方の風俗嬢にほかの男性客を付けたり、休憩に行かせたりします。こうして、風俗嬢が気持ち良く働けるように配慮してくれるのです。
また、男性客が風俗嬢に強引なプレイを要求して女性が悲鳴を上げた場合、呼び込み女性は急いで2階に駆け上がり、女性を助け出します。さらに、飛田新地では禁止されている写真撮影をしている男性がいれば、怒鳴りつけて写真を削除させます。
呼び込み女性は飛田新地を熟知している
このように、呼び込み女性は非常に頼りになることが多いです。新しく飛田新地で店を出した経営者は、呼び込み女性から教えてもらうことが多くあります。
飛田新地で「良い店」といわれる店は、多くの場合在籍している風俗嬢の質だけでなく、呼び込み女性と経営者の連携が十分に取れていることが多いです。
ただ、これはあくまでも「仕事をきちんとしてくれる呼び込み女性の場合」です。人によってはあまり仕事をしなかったり、中には経営者が見ていないうちに店の売上を盗んでしまう女性がいたりします。経営者は腕の良い呼び込み女性を雇うことが大切なのです。
飛田新地の経営者はどのような人なのか
やり手婆と呼ばれる呼び込み女性は男性客への声掛けや風俗嬢へのケアを行ってくれます。飛田新地の風俗店にとって、呼び込み女性は風俗嬢と同じくらい大切な存在なのです。
それでは飛田新地に風俗店を出す経営者はどのような人がいるのかというと、元ホストや女性経営者などさまざまな人がいます。経営する人が違えば、風俗店を運営するときの苦労が異なります。
50~60代の男性が多い
飛田新地の風俗店経営者は50~60代の男性が中心です。店の経営暦が数十年という人が多く、こうした人は飛田新地について熟知しています。
ただ、これら全ての人が飛田新地で経営している店の収入だけで生活できているわけではありません。その理由は「飛田新地の風俗店は売上に変動が出やすいため」です。
飛田新地の風俗店の相場は15分11,000円で、ほかの地域の風俗店に比べて高額なサービスです。店で働く風俗嬢は短期間で数百万円の収入を得ることができるため、数ヶ月で辞めてしまうことが多いです。そのため、人気の女性がいる間は店の売上が伸びるものの、辞めてしまうと急に売上が下がることはよくあります。
昔から飛田新地の風俗店を経営している経営者の中には、バブルの時代に大きな利益を得て、生活水準を上げた人がいます。ただ、現在の飛田新地の風俗店はバブルの時代ほど売上は伸びなくなっています。生活水準を維持するために、ほかのビジネスと平行して飛田新地の風俗店を経営している人はたくさんいます。
また、現在の状況では風俗店経営が難しくなり、昔から経験のある経営者がいなくなるケースも出てきています。
30代男性や元ホスト経営者が増えている
50~60代の経営者に代わり飛田新地で増えている風俗店経営者が30代の男性です。飛田新地の経営者全体の3分の1はこの年代の経営者となっています。
未経験から飛田新地で店を開業する人は少なく、これまでに水商売に携わっていた人が多いです。その中でも多いのが元ホストの経営者です。
飛田新地に風俗店を開業するには約1,000万円の資金が必要です。一般的には大きな金額といえますが、人気のあるホストならこれだけのお金を貯めることが可能です。また、ホストは日ごろから女性の心をつかむ技術を磨いているため、「飛田新地での風俗店経営も上手くいくだろう」と考えて開業します。
しかし、ホストクラブで女性の接客をすることと、女性を自分の店でスタッフとして仕事をさせることは、ノウハウがまったく異なります。
ホストクラブでは女性を気持ち良くさせれば良いですが、風俗店では「女性の教育」が必要です。元ホストであっても飛田新地の風俗店経営に苦戦することは多いのです。
飛田新地で風俗嬢をしていた女性が経営者になることもある
30代男性の経営者とともに増えているのが、女性経営者です。もともと飛田新地で風俗嬢として仕事をしていた女性が、「貯めたお金で開業しよう」と考えるのです。
飛田新地で活躍できる風俗嬢は20代前半です。そのため、20代後半から30代前半になった女性が飛田新地の風俗嬢を辞めて風俗店経営者にキャリアを切り替えます。
開業に必要な1,000万円の資金は、飛田新地なら頑張れば1年で貯めることができる金額です。さらに、女性は働いていた店の親方に相談することができます。親方も長く頑張ってくれた女性に対しての援助を断りにくく、開業までをサポートすることが多いです。
また、女性経営者の場合「店で働いてもらう女性のスカウトが上手い」ということもメリットです。
女性経営者はもともと自分が飛田新地にスカウトされてきた経験があり、在籍していた店の親方のスカウト活動も見ています。男性がスカウトするときのように、スカウトしたい風俗嬢に警戒心を持たれることもありません。そのため、飛田新地の風俗店経営で最大のポイントになる「風俗嬢の確保」を行いやすいのです。
このように、飛田新地の風俗店経営者は50~60代が多い傾向にありますが、最近は30代の男性や元飛田新地の風俗嬢の経営者も増えています。飛田新地は1912年ころから歴史のある街ですが、時代とともに経営者の層は変化しているのです。