埼玉県には2004年まで、JR京浜東北線の西川口駅前に歓楽街がありました。その人気は非常に高く、「東京の歌舞伎町や池袋を超えるほどのにぎわい」と称されました。また、「西川口流(NK流)」という言葉も登場し、西川口は独自の風俗文化を築いていました。
ここでは埼玉県・西川口にあった、かつての風俗街について紹介します。
西川口は数多くの風俗店が建ち並ぶ歓楽街だった
西川口駅前は2004年まで、たくさんの風俗店が建ち並んでいました。西川口駅には西口と東口がありますが、風俗店が多かったのは西口を出たところにある「西口一番街」でした。
男性客でにぎわっていた当時は、西川口駅のホームからでも風俗店の盛況ぶりが分かるほどでした。西口一番街の風俗街を歩く男性客は多く、風俗店の客引きスタッフもたくさんいました。さらに店のイルミネーションも、華やかに輝いていました。
現在の西川口一番街:かなり落ち着いた雰囲気になっている
西川口駅が設置されたのは1953年です。周辺にはバイクのオートレース場や競艇場も開業し、男性が多く行き交う街として発展しました。
1980年代には、東京で風俗店の一斉摘発が行われました。東京で営業していた風俗店は営業停止となりましたが、その代わりとして西川口を移転先とした店が多くありました。そのため1990年代に入ると、西川口の風俗街の盛況ぶりはピークを迎えました。
ただ、その一方で西川口は、「悪質な客引き行為」や「暴力団の拠点がある」など、埼玉県の中でも治安が悪い場所として知られるようになりました。
こうした状況から2004年に行われたのが、西川口駅前の「風俗環境浄化重点推進地区」への指定です。西川口駅周辺の風俗店は「一斉浄化」の対象となり、警察によって摘発されました。2006年にはほとんどの風俗店が摘発され、西川口駅前周辺の治安は向上しました。
「西川口流」は本番行為ありの風俗店を指す言葉だった
西川口駅前の風俗店が人気となった理由に、「本番サービス(セックス)を、低料金で提供した」ことが挙げられます。
本来、風俗店での本番行為は法律によって禁止されています。しかし、西川口駅の風俗店はより良いサービスを追求するために、セックスをサービスとして提供する店がたくさんあったのです。男性客は安い料金で女性とセックスを行えることから、積極的に西川口に出かけました。
そして、こうした状況から生まれた言葉が「西川口流」という言葉です。西川口流は「本来は合法なヘルスやピンサロが違法な本番サービスを提供すること」を指しました。また、西川口流は「NK流」と略されることもありました。
ちなみに西川口駅周辺にはヘルスなどの一般的な風俗店のほかに、ソープランドもありました。ソープランドは「店内で女性との自由恋愛に発展した」という建前で、本番行為が黙認されているサービスです。
西川口流(NK流)はあくまでも「本来は違法な風俗店で本番行為を行うこと」を指しました。そのためソープランドは、西川口流とはいえない店でした。
また、西川口の風俗店を利用する男性客は、西川口流という言葉を使っていませんでした。この言葉が使われたのは主に風俗情報誌で、「西川口流でフィニッシュ」というようなフレーズで用いられていました。西川口流という言葉の使用は、メディアが西川口を盛り上げるための戦略であったと考えられます。
現在の西川口は治安が向上している
2004年まで、西川口駅前にはたくさんの風俗店がありました。しかしそれ以降は警察による摘発が行われ、風俗店があった建物の多くが空き店舗となりました。西川口駅を訪れていた風俗店目当ての男性客も激減し、西川口駅周辺はゴーストタウンとなってしまいました。
しかし2006年以降、地域や大学との連携により、西川口駅周辺は再開発が進められています。合法の風俗店は一部残っているものの、西川口の治安は大きく改善しました。そして現在は、商店街への買い物客や居酒屋を訪れる人たちでにぎわう街となっています。
このように埼玉県の西川口は、かつては大人気となった風俗街でした。しかし現在は東京のベッドタウンとして、大きな変化を遂げているのです。
現在の西川口はどうなっているのか
2006年の摘発から10年以上が経過した現在、西川口流(NK流)や駅周辺の様子はどのようになっているのでしょうか。実際の様子を確認してきたので、載せようと思います。
かつて、100店舗以上の風俗店があった状況とは異なり、現在では一区間だけに風俗店が密集するようになっています。西川口駅西口を出て徒歩5分以内に到着できる距離にあるため、非常にアクセスは良いです。
西川口駅西口は高層ビルが立ち並んでいるわけではなく、どちらかというと落ち着いた雰囲気です。ただ、ここから少し歩くと大きなパチンコ屋があったり、風俗店が密集していたりします。
歩いて数分で風俗店が立ち並ぶエリアに到着しました。一区間の狭い場所にファッションヘルスやソープランドなど、多くの店舗がひしめきあって営業しています。
西川口流(NK流)が取り締まられたとはいっても、ソープランドへ行けば合法的に本番行為(セックス)を楽しむことができます。若い女性が在籍するソープランドの場合、「45分で総額1万7000円」など値段相場は一般的です。
ただ、東京のソープランドでは100分以上の値段設定しかなく、大衆店であっても3万円以上が必要になることが多いです。そう考えると短い時間を選択でき、安い値段であっても遊べることは非常に優れています。
なお、西川口では40代以上の熟女を集めたファッションヘルスやソープランドも存在します。熟女好きの方であれば、こうした店で楽しむことができます。
小さいながらも風俗街であるため、無料相談所が存在します。ファッションヘルス店やソープランド店が立ち並ぶこの区間の隣にはキャバクラやクラブなどもあるため、そうした店で遊びたい場合は利用してみましょう。
ちなみに、無料相談所の前を通ったとき、入り口にお兄さんがいて「いらっしゃいませ! 優良店だけを紹介しますよ」と声をかけてきました。
また、少ないながらもキャッチの人がいます。若い男性ではなく、ほぼ全員中年の人がキャッチをしていました。男性だけで歩いていると、ほぼ確実に「どの店を探していますか?」と声をかけてきます。ただ、歌舞伎町のキャッチのようにしつこくは追いかけ回してくることはありません。
なお、西川口では一区間がメインの風俗街であるため、片方だけネオンで輝き、道を挟んだもう片方は明かりが少ないです。
西川口にはラブホテルもあります。風俗店が連なる一角のすぐ近くに数店舗ほどラブホテルが並んでいるのです。
人の通りはまばらですが、カップルでホテルから出てくる人もおり、ある程度は盛況しているようです。値段は安く、一晩とまっても宿泊費は平日で7000円を切ります。2時間の休憩であれば、平日3500円ほどです。
西川口駅西口の道路には、路上に「客待ち禁止区域」と書かれてあります。現在でも性風俗店が密集しているエリアがあることを考えると、かつてのように違法風俗店が立ち並ばないように常に監視されている街だといえます。
ちなみに、西川口流(NK流)は現在ではまったく行われていないのかというと、必ずしもそうではありません。周辺のマンション一室などで細々とNK流が運営されているとキャッチの人が教えてくれました。
池袋などでも裏風俗店が運営されていますが、表立っては営業されていません。これと同じように、ひっそりとNK流が残っているのです。もちろん法律の壁を超えることになってしまうため、利用するのは自己判断に任せます。
また、NK流を体験するためには無料相談所やキャッチの男性を頼るといいです。新宿・歌舞伎町とは異なり、ぼったくり店を紹介されることはほぼありません。
このように、現在の西川口は一区間だけにファッションヘルスやソープランドが密集する地域になっています。
その周りにはキャバクラやクラブがあり、密かにNK流の店舗も存在します。ただ、かつてのような100店以上が立ち並ぶ風俗街ではなく、どちらかというと居酒屋が立ち並ぶ落ち着いた雰囲気となっています。