女性によっては「ホストクラブ」を利用することがあります。ホストクラブは「女性が『ホスト』と呼ばれる男性スタッフと、会話やお酒を楽しめる店」を指します。
通常、男性がホストクラブに行くことはほとんどありません。ただ、「ホストクラブを頻繁に利用していた女性が、風俗店で働いたり売春をしたりするようになった」という話は、よく聞くことがあります。ときには「毎月100万円にも上る金額を、ホストクラブに費やしていた」という女性も、テレビ番組などで取り上げられることがあります。
そのため人によっては「なぜホストクラブは、大きなお金がかかるのか」と不思議に思うことがあります。
そこでここでは、「ホストクラブがどのようなサービスであり、どのような料金体系になっているのか」や「ホストクラブを利用する女性の実態」について紹介します。
ホストクラブは男性が利用する店ではありません。ただ、風俗店の女性と会話を交わすときなどにホストクラブのことを知っておくと、役立つ場合があります。
ホストクラブのサービス内容
ホストクラブでは、男性スタッフである「ホスト」が女性を会話で楽しませたり、一緒にお酒を飲んでくれたりします。
女性は本能的に、いわゆる「お姫様願望」をもっていることが多いです。女性は「容姿も立ち振る舞いも素敵な男性と恋をしたい。周りの人から自分がお姫様であるように接してもらいたい」と考えているのです。
女性は子供の頃に「シンデレラ」や「白馬の王子様」などの話に親しんでいることが多いです。このような話を読んだり聞いたりすることで、女性のお姫様願望は形成されるのです。
女性はホストクラブで、「お姫様になったような気分」を体験することができます。ホストの男性は容姿が格好良く、お洒落な服を着こなしています。
ホストはいわゆる「イケメン(格好良く、魅力的な男性)」であることが多く、「楽しい会話」や「ときめくような言葉」を交わすことで女性を夢中にさせるのです。
ホストクラブは、男性が利用する「キャバクラ」に似ています。ホストクラブの店内は薄暗く、ムードのある雰囲気となっています。また、照明やテーブル、ソファなどのインテリアによって「ゴージャス感」が演出されていることが多いです。
男性が利用するキャバクラは、店によっては一般的なバーのような雰囲気である場合があります。これに対してホストクラブは、「高級感を意識した内装」であることが多いです。これは男性と女性で、考え方が異なるためです。
男性によっては「女性と一緒に会話やお酒を楽しめれば、店の内装にはそれほどこだわらない」と考えることがあります。
これに対してホストクラブに行く女性は「お姫様のような気分を味わいたい」と考えています。ホストクラブは女性のお姫様願望を十分に満たすため、高級感溢れる内装にこだわっているのです。
女性がホストクラブに入店すると、ホストが女性を席に案内します。そして、ホストが女性の隣に座ってくれます。その後女性はお酒を飲みながら、ホストと一緒に会話を楽しむことができます。
女性は「格好良い男性」や「会話が上手な男性」を好む傾向にあります。ホストはこの両方を兼ね備えているため、女性によっては夢中になることがあるのです。
ホストクラブの料金体系
ホストクラブに関する話題として、「女性がホストクラブで、数十万円のお金を費やした」という出来事を耳にすることがあります。このような話から、「ホストクラブは非常に高い」というイメージをもつ人がいます。ただ、きちんと予算をわきまえて利用すれば、ホストクラブであっても上記のような金額はかかりません。
ホストクラブでかかる料金は大きく「セット料金(テーブルチャージ)」「指名料」「ドリンク・食事代」「サービス料(TAX:タックス)」に分かれます。以下では、これらの料金について説明します。
必ずかかる「セット料金(テーブルチャージ)」
セット料金(テーブルチャージ)は、「ホストクラブの席料」です。セット料金は「60分3,000円」や「90分5,000円」のように設定されていることが多いです。
セット料金には無料で飲むことができる「ハウスボトル」というドリンクと、「指名が入っていないホストによる接客料金」が含まれています。利用時間を延長したり、追加料金がかかるドリンクを注文したり、希望のホストを指名したりすると、女性客には追加料金が発生します。
また、ホストクラブによっては「初めて来店する女性に関しては、セット料金が1時間1,000円」のようなイベントを実施していることがあります。このような店を利用すると、女性は初回だけであれば、1,000円でホストクラブを体験することができます。
最近は競争が激しくなっており、ホストクラブによってはこのようなイベントで店を体験してもらい、「女性の再来店」を狙うことがあります。
ホストを指名する際にかかる「指名料」
指名料は「女性客が好みのホストを指名するときにかかる料金」です。指名料はホストクラブを利用するときに毎回かかり、1回あたり2,000円ほどの追加料金が発生することが多いです。ただし店によっては、指名料を無料に設定している場合があります。
男性は風俗店を利用する際、「さまざまな女性とエッチを楽しみたい」と考えることがあります。これに対して女性は「1人の男性を愛したい」と考える傾向にあります。そのため女性はホストクラブで好みの男性を見つけると、その男性を何度も指名する傾向にあります。
もちろん男性であっても、キャバクラや風俗店で1人の女性を指名し続けることはあります。ただ、女性は「1人のホストだけを指名する傾向がより強い」といえます。
追加注文で発生する「ドリンク・食事代」
ホストクラブではさまざまなお酒やソフトドリンクを揃えており、食事を楽しめる店もあります。
セット料金に含まれる「ハウスボトル」で飲めるお酒の種類は焼酎やウイスキー、ブランデーなど、限られていることが多いです。ハウスボトル以外のお酒を注文する場合は「1杯あたり1,000~2,000円」の追加料金がかかります。
ここで女性が注意するべき点として、「ホストが飲むお酒の料金も、女性が支払う」ということが挙げられます。例えば女性が「カクテル」を注文するとします。
このときホストが女性に対して「僕も一緒に飲んでいい?」のように聞くことがあります。女性がホストのお酒を注文すると、ホストが飲んだお酒の料金も女性が支払うことになります。
ホストは店の売上を上げることで、自分の収入も上がります。そのためホストは上手く女性を楽しませたり、注文を依頼したりする必要があります。
また、店によっては初回以降の来店時に、2万円前後の「ボトル」を必ず注文しなければいけない場合があります。
女性のホストクラブ代が高額になる理由
ホストクラブの料金は、上記のような仕組みになっています。基本的にホストクラブは、男性のキャバクラと似た料金体系といえます。
ただ、女性によっては数十万円のお金を、ホストクラブを1度利用しただけで費やすことがあります。上記の料金体系だけを見ると、高額な請求になることが想像できないかもしれません。
女性のホストクラブ代が高額になる理由のひとつとして、「高級シャンパンの注文」が挙げられます。例として「ドン・ペリニヨン」というシャンパンは通称「ドンペリ」と呼ばれ、多くの人によく知られている値段の高いお酒です。
ドンペリはホワイト・ピンク・ゴールド・プラチナのように、熟成期間によって「種類」が分かれています。シャンパンは熟成期間が長いほど質が高くなるため、このように種類が分かれているのです。
ホストクラブでドンペリを注文すると、ホワイトで4~5万円、ピンクで10~12万円、ゴールドで30万円ほど、プラチナで70万円ほどかかります。
この値段はボトル1本の値段であり、非常に高額といえます。女性によってはこのように高額なお酒を注文することがあるため、ホストクラブの料金が高くつくのです。
ただ、ドンペリを注文しても、女性は時間をかけて飲むことは少ないです。ドンペリを注文すると通称「ドンペリコール」という、「ホストによる掛け合い」が始まります。
ホスト達は「Aさんより、ドンペリ頂きました!」のようなかけ声と共に、ドンペリを注文した女性や一緒に来ている女性、ホスト達に注いでいきます。そして皆でワイワイと楽しみながら、いわゆる「一気飲み」をしてしまいます。数十万円もするお酒が、すぐになくなってしまうのです。
女性は男性よりも、感情的に行動する傾向があります。好意をもったホストに「ドンペリを飲まない?」のように誘われると、女性によっては高額なお酒であっても注文してしまうことがあるのです。
また、周りの女性が高額なシャンパンを注文していると、「私も他の女性に負けたくない! 好きなホストの前で、羽振りの良い姿(お金をたくさん使う様子)を見せたい」と考えて、ドンペリを注文してしまうことがあります。
さらに、例えば女性Aさんがドンペリのピンクを注文しようか迷っていると、ホストが「Aちゃんの乳首の色は?」と聞くことがあります。
Aさんが「ピンク」と答えると「Aさんからドンペリ・ピンク頂きました!」のように、ホストが無理矢理に注文を進めてしまうこともあります。
サービス料(TAX:タックス)
サービス料は「TAX(タックス)」と呼ばれることもあり、「ホストの接客料金」を指します。サービス料は、「セット料金」「指名料」「飲食代」の3つを合計した金額に、20~40%の割合をかけた金額が加算されます。
例えばある女性がホストクラブに行き、セット料金が60分3,000円、指名料が2,000円であったとします。また、このホストクラブにおけるサービス料は、30%で計算されるとします。
女性はこのホストクラブで好みのホストを指名して、60分過ごしました。また、その間に「自分とホストが飲むお酒」として、有料ドリンクを2,000円分注文しました(1杯1,000円)。
この場合、セット料金・指名料・飲食代を合計すると7,000円です。そしてサービス料はこの30%であるため、2,100円です(7,000円×0.3)。つまりこの女性はホストクラブを1時間利用して、9,100円の料金がかかることになります。
サービス料は「ホストクラブで長時間過ごすほど、また、お酒や食事を注文するほど高くなる」という特徴があります。ホストは女性を楽しませて気分を高揚させるため、女性によってはホストクラブで長時間過ごし、たくさんのお酒を注文することがあります。そして1晩で、数十万円を費やすことがあるのです。
女性によっては「ホストクラブは、お金がたくさんかかるから怖い」と考えていることがあります。これは以上のような理由によるのです。
ただ、前述した「初回に格安でホストクラブを体験できるイベント」は実際に行われています。そのため初回利用だけに留めることができれば、女性はホストクラブを安く楽しむことができます。
「VIPルーム」が設けられている店もある
ホストクラブによっては、店内に「VIPルーム」を設けていることがあります。VIPルームとは、「ホストクラブの店内にある、特別な部屋・座席」を指します。
VIPルームを利用すると、ホストクラブの料金はさらに高くなります。VIPルームであっても飲食代や指名料は変わりませんが、必ずかかる「セット料金」が一般席の2~3倍になることが多いです。
女性は前述のように、ホストクラブに「お姫様気分」を味わうために来店します。女性によってはさらにホストクラブの満足度を高めるために、VIPルームを利用することがあります。
VIPルームは設置されたテーブルやソファなどが、より高級なものになっています。そして落ち着いた雰囲気でホストとの会話やお酒を楽しめるよう、他の席から少し離れた場所に設けられていることが多いです。場合によってはVIPルームが、他の席よりも高い場所に設けられていることもあります。
また、高級なインテリアが設置されているだけでなく、VIPルームでは「ホストの接客」も変わります。座り心地の良いソファで、ホストがより女性に近い距離で会話をしたり、「女性をときめかせたりするような行動」をとってくれたりします。
ホストはVIPルームで過ごす女性に対して、「ボディタッチ」をすることがあります。もちろん女性が望んでいる場合に限りですが、ホストクラブのVIPルームに来店する女性は「ホストからのボディタッチ」を楽しむことができるのです。
また、場合によってはキスなどの「さらに疑似恋愛を楽しめる行為」を、ホストがとってくれることもあります。
ホストクラブに繰り返し来店する女性の多くは、ホストに恋愛感情を抱いています。そのため上記のような行動をとられると、女性は非常に嬉しく感じるのです。
ホストに夢中になる女性の実態
ホストクラブへ来店する女性には「上手に予算の範囲内で利用する女性」がいる一方で、「たくさんのお金を費やしてしまう女性」もいます。
後者の女性には、ホストクラブ通いが原因で「風俗嬢」になる人もいます。以下では「このような女性がなぜ、ホストクラブに熱中してしまうのか」について紹介します。
優しいホストに惹かれたアイさん
アイさんは東京の有名な歓楽街である「歌舞伎町」のキャバクラで働く、いわゆる「キャバ嬢」です。アイさんは容姿が良いものの会話が苦手で、男性客から指名されることが少ない状況でした。そして、給料も低い状況にありました。
アイさんが歌舞伎町を歩いていると、たくさんのホストがアイさんに対して「キャッチ(客引き)」をしてきました。現在では「歌舞伎町での客引き行為」は禁止されていますが、Aさんがホストクラブを知った頃は規制が緩く、客引き行為が行われていました。
ホストクラブは前述のように、初回であれば60分1,000円などの格安料金で楽しむことができます。アイさんは「1時間1,000円で飲み放題だよ!」のようなホストの誘いに興味をもち、ホストクラブに入店しました。
アイさんがホストクラブに行ってみると、格好良いホスト達が店内を歩き回っていました。店内はゴージャスな雰囲気が感じられ、既に飲んでいる女性客はホストたちと楽しく盛り上がっていました。
Aさんはその雰囲気を気に入り、さまざまなホストクラブを初回料金で飲み歩くようになりました。
女性が初めてホストクラブを訪れると、たくさんのホストが交互に接客を行います。これはホストクラブの方針で、「女性にさまざまなホストの接客を見てもらい、好みのスタッフを見つけてもらうため」です。
ホストは競争心が強い人が多く、女性に対して積極的に接客をすることが多いです。アイさんがさまざまなホストクラブを訪れたときにも、たくさんのホストが接客をしてくれました。
その中でアイさんは、「タカさん」というホストに好意をもちました。アイさんにとってタカさんは、他のホストよりも「優しい雰囲気」が感じられたのです。
アイさんはキャバ嬢として男性客と接していた経験から、「ホストの接客」を確認していました。アイさんは「ほとんどのホストは最初に名刺を渡してきて、『次に来るときは自分を指名してよ』と売り込んでくる」と感じていました。
しかしタカさんは、「キャバ嬢なんだね。大変じゃない?」のように、アイさんの話をしっかり聞いてくれました。
タカさんは人気のあるホストでした。アイさんはタカさんに対して、「人気があるのに強引すぎず、落ち着いた人だな」と感じました。タカさんは「良かったらまた来てね」と軽く伝えて、接客の「最後」に名刺を差し出しました。アイさんはこの行動から、タカさんに好意を抱いたのです。
アイさんはさまざまなホストクラブを経験する中で、たくさんのホストから「連絡先を教えてよ!」と誘われていました。しかしアイさんは初めて、自分からタカさんの連絡先を聞きました。
アイさんはタカさんと会うために、ふたたびタカさんのいるホストクラブを訪れました。タカさんは変わらず優しく接してくれて、アイさんに対して「無理に高いお酒を注文しなくていいからね」と言ってくれました。タカさんは「アイさんの収入が苦しいこと」を理解していたのです。
しかしここで、アイさんは悔しさを感じました。「タカくんは優しさから無理をしなくて良いと言ってくれている。
でも、『どうせお金を持っていないから、高いお酒は注文できないよね』と言われているようなものだ。ドンペリを注文して、タカくんを驚かせよう!」とアイさんは考えたのです。
タカさんのいたホストクラブは、時間制限のない「フリータイム」のセット料金が15,000円でした。アイさんは10万円の「ドンペリ・ピンク」を注文して、その他のドリンクと合わせて約15万円を支払った後、店を出ました。
タカさんはアイさんの帰り際に、「ありがとう!」とお礼を言いました。そしてアイさんはタカさんに、より惹かれるようになりました。
ホストクラブに通うため、風俗嬢に
アイさんはタカさんに、名前を覚えてもらえるようになりました。ただアイさんの収入では、タカさんのいるホストクラブに通うことはできませんでした。
アイさんは貯金も少なかったため、「タカくんのいるホストクラブに通うには、どうすれば良いだろう」と考えていました。
そこでアイさんは、友人のキャバ嬢に相談することにしました。その女性はアイさんに、「仲の良いスカウトマンを紹介してあげるよ」と言いました。スカウトマンは「女性にキャバクラや風俗店の仕事を紹介する男性」を指します。
アイさんは友人の知り合いであるスカウトマンに、風俗店のひとつである「ピンサロ」の仕事を紹介してもらいました。スカウトマンによると「アイさんは容姿が良いため、今働いているキャバクラの倍くらいは稼げるよ」とのことでした。
アイさんは紹介してもらったピンサロで勤務することを決意しました。アイさんはそれまで昼すぎまで寝ていた生活を切り替えて、午前11時からピンサロに出勤しました。
そして男性客に、性的プレイのサービスを行うようになりました。そして夜になると、キャバクラに出勤しました。
容姿が良いアイさんの人気は、ピンサロで急激に高まりました。そしてアイさんは2ヶ月ほど勤務した時点で、「タカさんのいるホストクラブにしばらく通える金額」を得ることができました。
アイさんはピンサロの仕事を辞めてキャバクラ勤務のみに戻して、しばらくタカさんの元へ通いました。
ただ、それから3回ほど通ったところで、アイさんのタカさんに対する好意は薄れてしまいました。その理由は、「タカさんが本当にアイさんを好きになることはないと気付いたため」です。
アイさんがタカさんのいる店に行くと、タカさんは喜んでくれました。しかしアイさんは「タカさんは仕事として私に優しく接してくれている。その姿勢は今後も変わらないだろう」と悟ったのです。
アイさんは適度な距離を保ちながら、タカさんと連絡をとるようになりました。そしてタカさんのいるホストクラブに行っても、ドンペリを注文することはなくなりました。
アイさんはときどき「ホストクラブでお酒を飲みたい」と思ったときだけ、タカさんのいるホストクラブを利用するようになっています。
女性によっては、ホストクラブ通いから抜け出せなくなることがあります。しかしアイさんは、途中で我に返ることができたのです。
ホストクラブ通いで大きな借金を負ったリナさん
リナさんは一般企業でOLの仕事をしていた女性です。リナさんは初回割引のイベントを利用して、ときどきホストクラブに友達と出かけていました。リナさんは友達に誘われてホストクラブへ行くことが多く、「ホストクラブは確かに楽しいけれど、夢中になるほどではない。初回荒らし(さまざまなホストクラブを1度だけ利用すること)で十分」と考えていました。
リナさんには彼氏がいました。リナさんは彼氏のことを「とても良い男性。ただ、刺激が少ない人」と考えていました。そのため仕事でストレスが溜まると、リナさんは友達からの「ホスクラ(ホストクラブ)でストレス発散しようよ!」という誘いに乗って、ホストクラブへ出かけていました。
リナさんは夢中になることなく、適度にホストクラブを楽しんでいました。ただ、ある日友人と出向いたホストクラブは、リナさんにとって非常に楽しい店でした。
リナさんの友人はこのホストクラブを利用した経験があり、ホスト達はリナさんと友人に対して丁寧に接してくれました。リナさんはこのホストクラブがもつ「雰囲気」や「ホスト達が作り出している世界観」を気に入りました。
リナさんはそれまで、同じホストクラブを2回以上利用したことがありませんでした。しかしリナさんは初めて、「このホストクラブは、もう一度来たいな」と思ったのです。
お気に入りのホストを見つける
リナさんは友人と一緒に、ふたたび上記のホストクラブへ出かけました。友人はお気に入りのホストを指名しましたが、リナさんは指名をせず席に座りました。
リナさんがホストを待っていると、「こんばんは! 前回も来てくれたよね?」と言いながら、ホストの「サトシさん」がリナさんの横に座りました。
リナさんはサトシさんのことをあまり覚えていませんでしたが、サトシさんに対して「すごく格好良い!」と感じました。サトシさんは細身のスーツを完璧に着こなしており、顔立ちが整っていました。
リナさんは「サトシ君は、まるで王子様のようだ…」と思ったのです。さらにサトシさんは、巧みな話術でリナさんを楽しませてくれました。
リナさんは「サトシ君は格好良くて、会話もすごく上手い! 彼氏とは全然違うタイプだ」と感じ、すっかりサトシさんの虜になってしまったのです。
リナさんはそこから彼氏に内緒で、1人でサトシさんがいるホストクラブへ向かうようになりました。リナさんはそれまで、「ホストクラブで高級なシャンパンなんて、絶対に注文しない」と考えていました。
しかし3度目の来店からは、「サトシ君のために、ドンペリを注文してあげよう」と思うようになりました。
ただ、リナさんはOLの仕事であったため、10万円以上もするようなシャンパンは注文できず、最も安い「ドンペリ・ホワイト」を3万円で注文しました。
しかしこれはあくまでも「ドンペリのみの料金」です。セット料金や指名料、サービス料を含めると、リナさんのホストクラブ利用料金は10万円近くに上りました。
リナさんはとりあえず用意していた現金5万円を支払い、残りはクレジットカード払いで会計を終えました。
1晩でたくさんのお金を使ってしまったリナさんでしたが、後悔はありませんでした。むしろホストクラブで行われる「シャンパンコール(シャンパンが注文されたときに、ホストが行うお祝い)」に快感を覚えて、「またホストクラブへ行って、サトシ君と会おう」と思ったのです。
リナさんはこれ以降、「クレジットカード」をたくさん作るようになりました。カードで会計をすれば、支払いを先送りすることができます。リナさんはサトシさんのいるホストクラブへ行ってはカード払いで会計を済ませて、支払いを「リボ払い(分割払い)」に切り替えました。
リナさんが所有するクレジットカードの枚数は、急激に増えました。そしてそれに伴い、「ホストクラブへ通う回数」と「毎月返済する金額」も増えました。
リナさんはボーナスを利用して一度に返済をしたり、着なくなった服をオークションなどで売り、そのお金を返済に充てたりしていました。
お金の使い方がエスカレート
リナさんはサトシさんのことが大好きになっていました。そしてリナさんは「サトシさんのためなら頑張ろう! 私がサトシさんにとって、1番のお客さんになろう」と思うようになりました。
サトシさんを定期的に指名する女性客は、リナさん以外にもいました。リナさんと会話を交わしている最中にサトシさんは、「指名が入ったから、別で来ているお客さんのところに行くね」と言って席を外すことがありました。
他の女性客はサトシさんのために、1度の来店でドンペリのピンクやゴールドを2、3回注文することがありました。
つまりその女性客は「1晩で数十万円や100万円に近い額を、サトシさんに費やしている」ということです。そこでリナさんもサトシさんのために、「ランクの高いシャンパン」を注文するようになりました。
高級シャンパンを頼むようになると、サトシさんはリナさんを「特別扱い」してくれるようになりました。サトシさんは「よりリナさんがドキドキするような接し方」をしてくれたり、リナさんのために「居心地が良い席」を用意してくれたりしました。
さらにこの頃からサトシさんは、営業が終わったあとに食事へ行く「アフター」に、リナさんを誘うようになりました。
リナさんはこのときからサトシさんのことがますます好きになり、ホストクラブ通いもさらに楽しくなりました。
ただ、リナさんはサトシさんに「自分だけを好きでいて欲しい」と考えることはありませんでした。リナさんはサトシさんにとって「良いお客さん」であろうと振る舞いました。「高級シャンパンを楽しみ、いわゆる『がっつく行動(積極的すぎる行動)』をとらずに帰る」という、スマートな行動を意識したのです。
お金を得るために、風俗店で働き始める
ホストクラブでたくさんお金を使うようになると、リナさんはクレジットカードを限度額(利用できる上限金額)一杯まで使うようになりました。いよいよ使えるクレジットカードが少なくなってきたとき、リナさんはついに「風俗店」で働くことを決意しました。
リナさんはOLの仕事を続けながら、夜に風俗店で勤務するようになりました。しかし、あまり多くのお金を得ることができませんでした。リナさんの容姿は「普通」であり、特別に可愛いわけではありません。また、リナさんが住んでいる郊外は風俗店の料金が安い傾向にあり、大きなお金を得ることは難しかったのです。
しかしリナさんは「サトシ君のために頑張らなくてはいけない。私はサトシ君にとって『エース(特別なお客さん)』なのだ」という気持ちから、地域で「最も忙しい」と言われる風俗店での勤務に切り替えました。そしてOLの仕事も辞めて、完全に「風俗嬢」となったのです。
リナさんは「ホストクラブに通う女性には、キャバ嬢や風俗嬢が多いということは知っていた。ただ、自分が風俗嬢になるとは思っていなかった」と感じました。
リナさんはその店に在籍する風俗嬢の中では可愛いほうで、男性客に対して丁寧に対応することで人気を獲得しました。その結果リナさんは店長から気に入られるようになり、優先して男性客をつけてもらえるようになりました。
リナさんは風俗店に出勤して開店から閉店まで、週に5日働きました。そして、「ホストクラブへ通うお金」と「クレジットカードの返済金」を得ようと頑張りました。
ホストクラブでは高級シャンパンを注文すると「シャンパンタワー」というものが行われます。シャンパンタワーではシャンパングラスをタワーのように積み上げて、その頂上からシャンパンを注ぎます。
シャンパングラスにはライトが照らされており、グラスと注がれるシャンパンの輝きが、見る人達を魅了します。
ホストの誕生日には、「そのホストを指名する常連客が高級シャンパンを注文して、シャンパンタワーを行うこと」が一般的になっています。人気が高いホストの誕生日にはたくさんの女性が訪れて、盛大なシャンパンタワーが繰り広げられます。
リナさんは「サトシ君の誕生日に、私がシャンパンタワーを行ってあげよう」と考えて、風俗店で必死に働きました。リナさんはサトシさんの誕生日に「ドンペリ・ゴールド」を注文して、晴れて盛大なシャンパンタワーを行うことができました。
風俗店勤務が、彼氏にバレた
ただこの頃から、風俗店で連日勤務していることが原因で、リナさんはインターネット上の掲示板でさまざまな陰口を叩かれるようになりました。
「あの風俗嬢(リナさん)は、稼いだお金をホストに貢いでいる」「あの女性は出勤しすぎていて、気持ち悪い」のような書き込みを見る度に、リナさんは精神的に落ち込みました。
リナさんはそのストレスからさらにホストクラブへ通うようになり、風俗店の収入でもクレジットカードの支払いが追いつかなくなりました。そしてリナさんは、いわゆる「闇金(やみきん)業者」で100万円を借りました。
ネット上の掲示板にリナさんの噂が広まることで、サトシさんも「リナさんが風俗店で仕事をしていること」に気付きました。
サトシさんはそれまで、「リナさんがどのようにホストクラブ代を捻出しているのか」を不思議に感じていました。しかしリナさんが風俗嬢に転身したことを知り、「リナが風俗嬢になったのなら、ホストクラブ代を捻出できることも理解できる」とサトシさんは思いました。
サトシさんを指名するお客さんには風俗嬢がたくさんいたため、サトシさんがリナさんに偏見をもつことはありませんでした。
この頃、リナさんは彼氏に風俗店で勤務していることがバレてしまいました。
リナさんはバレないように風俗店の仕事をこなして、彼氏と会う時間を作っていました。しかし彼氏は何となくリナさんの行動を不審に思い、風俗店のポータルサイトを確認しました。
そしてある店のホームページに「リナさんと思われる写真」が掲載されていることに気付き、リナさんに直接問いただしてきたのです。
リナさんは彼氏に全てを打ち明けました。「ホストクラブに通っていること」「ホストクラブが原因で、大きな借金を抱えてしまったこと」「OLを辞めて、風俗店で働いていること」これら全てをリナさんは彼氏に伝えたのです。リナさんは彼氏を別れることを覚悟していました。
リナさんの彼氏はこの話を聞いて、大きな衝撃を受けました。ただ、リナさんの彼氏は「全ての原因はサトシというホストにある。リナがやむを得ず風俗嬢になったことは仕方ないと思う」と言い、リナさんを理解してくれたのです。
ここでリナさんは「自分がサトシさんに対して、夢中になりすぎていたこと」を自覚しました。リナさんは「私は完全に自分を見失っていた」と、我に返ったのです。
生活を立て直して、ホストクラブ通いを卒業
リナさんは、サトシさんのいるホストクラブへ通うことを止めようと決意しました。
彼氏はリナさんに、「浮気防止アプリ」をスマホにダウンロードするよう促しました。浮気防止アプリはGPS機能(スマホの現在地が特定できる機能)を応用しており、「浮気防止アプリをダウンロードしたスマホが、今どこにあるか」を知ることができます。
つまりリナさんは浮気防止アプリをスマホにダウンロードすることで、彼氏に現在地を確認されるようになったのです。
リナさんは、サトシさんからのLINEメッセージに返信しなくなりました。そして抱えていた借金については弁護士に相談して、「個人再生」という手段で減額してもらおうと考えました。
個人再生は「裁判所に『再生計画』を提出すると、借金が5分の1にまで減額される制度」です。少なくなった借金は、3~5年かけて返済できるように決められています。
ホストクラブに行かなくなってからも、リナさんのスマホには「サトシさんからのお誘い」が届いていました。ただ、リナさんが何度か「もうお店に行けなくなった」と返信していると、サトシさんから連絡がくることはなくなりました。
サトシさんは「他の女性客がたくさんいるから、ホストクラブ通いを止めた女性は無理に引き止めない」と考えていました。
リナさんはサトシさんのこのような考え方を、以前から理解していました。しかし「自分が店に行かなくなっても、サトシさんが残念がってくれないこと」に対して、リナさんは少し寂しさを覚えました。
以上のようにして、リナさんのホストクラブ通いは幕を閉じました。リナさんは風俗店の仕事を辞めて、バーの仕事を新たに始めました。そして残った借金を返済しながら、彼氏との結婚を前向きに考えています。
リナさんは「ホストクラブ通いはとても楽しい。しかし夢中になりすぎるとホス狂い(ほすぐるい:ホストクラブに依存すること)になり、人生が変わってしまう」ということを、身を以て実感したのです。
ホストクラブのサービス内容や料金、また高額な料金になる実態については以上です。女性にとってホストクラブは、格好良い男性と楽しくお酒を飲むことができる店です。しかし人によっては利用の仕方を誤り、たくさんのお金を費やしてしまったり、場合によっては借金を重ねてしまったりすることがあるのです。